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583 悩まされた仕事①排水管詰まりⒶ松葉

イタチウオ
  当館は高知市の桂浜公園内の一部を借地して建てられている。敷地には樹齢百年を超えるクロマツが十数本あり毎日松葉が降りそそぐ。従業員は毎朝その松葉の清掃から仕事が始まるが、当然のことプールにも。水面の松葉はプールのへりにある排水穴に流される。穴には目皿があり松葉はそこに集まる。若いのが毎朝の掃除を面倒がって目皿を取り除いて捨ててしまった。結果松葉は排水と共に海まで流れ出るようになったが、私の恐れていたことも!。一部の穴はパイプの途中で松葉が引っかかり流れなくなってしまうのである。目皿をつけて毎朝掃除するか、詰まってしまった穴を手押し式やエンジンポンプをセットして吹きぬくか。今も若いのともめ続けているのである。
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582 悩まされた仕事(序)

アカマンボウ
  エコおやじのは46年前、飼育員として桂浜水族館に就職したが、その時の館長は「ワシは館長兼小使いで、魚も電気も機械の面倒もみゆう。お前はそのワシの助手じゃきに、何でもやらにゃいかん」と言っておよそ考えられないような仕事(②初日④水道管修理⑥飼育員の仕事)を次々とさせられた。館長の“召使い”と感じることも度々だった。しかし館長の友人の大工の棟梁(268恩人③スエやん)や子分(270恩人浪やん)の弟子としていろいろ学び、おかげで昭和59年の移転新築の頃には設備全般を任されるエコおやじになりつつあったのである。今回はそのエコおやじをおおいに悩ませてくれた仕事を思い返してみたいと思う。

581 土佐弁と私⑩阿波なまり

ワニゴチ
  30年余り前の話だが、息子達の小学校の先生との面談から帰った女房が「ご主人は県外の人ですね」と言われたと。私は学生時代を除いても、結婚まで3年と息子達が小学生になるまでなので10年以上は土佐弁に慣れ、使いこなしてきたつもりだったが、阿波弁の“さ・し・す・せ・そ”はかなり癖の強い発音のようで、それが少なからず息子達に移っているのを先生に見抜かれていたようだ。“江戸っ子は三代目から”と言われているように、二代目(母親は土佐人だけど)の息子達は、まだ土佐人にはなり切れていないようなのである。 

“土佐弁と私”は今回で終了。来週は、まだ原稿が出来てなくて悶えていますが、なんとか間に合わせるつもりです。イラストも“あいうえお”から一周したので、再度“あ…”からスタートの予定です。




580 土佐弁と私⑨ちゃがまる

ロウニンアジ
  二か月ほど前のことである。当館に“ちゃがまらん”と名乗るユーチューバーが来て、館内でお気に入りの魚や動物達を撮影してまわったことがあった。その案内役をしていた若いのが「“ちゃがまらん”てどんな意味?」と聞いてきた。彼は大阪出身で、桂浜に来て一年半ほど。まだ“ちゃがまる”に出会ったことはなかったようである。私の場合は桂浜に来て三年余りの頃。買ったばかりの中古車がダウンした時「はや“ちゃがまったかよ”。けんど一ヶ月に9000kmも走らす(345桂浜への道⑰イルカに通う)人は知らんぜよ」と車屋に言われた時と記憶している。一年半では無理もあるまい。

579 土佐弁と私⑧しいれえ

レンテンヤッコ
  結婚した翌年の秋口のことだったと思う。義母に「“しいれえ”が綺麗なそうなから連れてって」とアッシーを頼まれた。高知に来てほぼ10年(学生時代を含む)が過ぎていたが、初めて聞く言葉だったのですぐに聞き返せば良かったのだが、何か別の話に飛んでしまって聞きそびれてしまった。「綺麗・連れてって」から想像して、多分お花見だろうとは思ったが、その晩女房に聞くと「田んぼのあぜ道やお墓に咲く赤い花が“しいれえ”」と言う。秋の田んぼのあぜ道の赤い花なら「彼岸花か?」と聞くと「そう」と。土佐では“まんじゅしゃげ”の名はほとんど使われていないようなのである。

578 土佐弁と私⑦いんげ

ルリスズメダイ
  DNAの指示(328桂浜への道(序))に従って土佐に舞い戻った私の周りは、今度は土佐弁が溢れていた。下宿のおばさんも、館長はもちろん水族館の従業員も全員が土佐の人ばかり。中でも私が毎日昼食を食べていた、おみやげ店のおばあちゃんが話好き。カレーを食べに行く度に、必ず横に座って話しかけてくる。人間嫌いぎみの私を無理矢理土佐弁で引き込んでゆく。“いんげ・いんげ(そうではないとの軽い否定の意味)”を繰り返す。始めは鬱陶しくも感じたが、私に好感を持ってくれていることはわかるので、楽しく付き合えるようになり、意味の分からない古い土佐弁なども多く聞かされ、土佐弁に慣れさせられていったのである。

577 土佐弁と私⑥土佐弁との別れ

リュウグウノツカイ2
  高知大学には五年間在籍(一年留年)したが、すべて寮生活だったせいもあり、一般的な土佐弁と触れ合える機会はあまり多くはなかった。二年生で出会った“ちゅう”の女の子以来、土佐弁への嫌悪感はなくなったが、私の周りには九州弁の“ごたる”や広島弁の“じゃろう”が飛び交い、私も阿波弁の“ほなけん”から抜け出してはいなかった。卒業と共に大阪に就職。大阪弁は敬語や丁寧語が“さかい”や“でんなあ”などとうまくごまかせる感じで、使い勝手が良くすぐに慣れていった。私の中で少しだけ住み着きかけていた土佐弁は、そのまま消えてゆく運命と思われていたのである。

576 土佐弁と私⑤ちゅう?

ラブカ2
  大学二年生になった四月始めの事。たまたま立ち寄った本屋で書架をながめていた時、すぐ後ろで声がした。「おばちゃん、こくごの本きちゅう?」その最後の“ちゅう?”に私は生まれて初めての何とも表現できない美しい響き・感覚を覚えたのである。振り向くと新一年生が母親と一緒に教科書を買いに来たところだった。本屋のおばさんとのやり取りを聞いていて、その女の子の可愛い声が心に響き、それまで耳障りと思っていた“がー・きー・ほら”などの土佐弁が、突然美しい言葉に変わってゆくのを覚えた。それは私自身がロリコン(315鳥かごより⑭ロリロリウオッチ)であることを自覚し始めた瞬間でもあったのである。

575 土佐弁と私④いながら

ヨスジフエダイ
  水泳部には前出の女性の他に、二人の高知県出身者がいた。高校からの同級生だった彼らはいつも仲良くつるんで喋っていたが、近くで聞いていると“いながら・いんながら”と繰り返していた。話の道筋からして“そのまま”とか“突然”とかの感じで通じそうなのはわかるのだが、私を含めて県外人には使える感じにはならない言葉であった。主に若い男性が多用する感じだったが、最近ではほとんど聞かれなくなってしまったような気もする。

574 土佐弁と私③のうが悪い

ユキフリソデウオ
  水泳部の女性との会話で、もう一つ面食らったのが“のうが悪い”だった。体調不良の中で何かの共同作業中「高谷君はのうが悪いみたいね」と声をかけられた。彼女とは特に親しいわけでもなければ、嫌われているとも思っていなかったので、これには戸惑った。多分怪訝な顔になったのだと思う。その時も彼女はすぐに気づいて「土佐では体調が悪い時や能率が悪いときに“のうが悪い”と言います。“脳みそ”ではなく“能率”のことですね」と教えてくれた。私の体調を気遣ってくれていたのである。「県外の人には気分を害される事が…」との事だった。

573 土佐弁と私②変わるにかわらん

ヤミハタ
  大学では中学・高校と続けてきた水泳部に入部したが、そこに一人だけ女性部員がいた。彼女は南国市出身の“はちきん(男まさりの女性)”だったが、ある日平泳ぎのルールについて話していた時「今年から“変わるにかわらん”」と言われて面食らった。「えっ」と言った私の怪訝な顔に気づいた彼女はすぐに「“かわらん”は推量の言葉で土佐ではよく使われます“多分変わるだろう”の意味ですね」と詳しく教えてくれた。そして私が徳島県の出身であることを知っていた彼女は「阿波弁の“あるでないで(あるではありませんか)”と似たような表現ですね」と付け加えてくれたのである。

572 土佐弁と私①きい・ほら

モンガラドオシ
  昭和40年4月。18才の私は郷里の鳴門市を離れ、高知大学南溟寮に入寮した。寮には四国の3県と九州・中国地方の出身者が多く、当然のことながら高知県出身者はほとんどいなかった。寮と学校の往復がほとんどで、街中にはあまり出なかった私だったので、土佐弁との出会いは少なかった上、第一印象が悪かったのか、たまに飛び込んでくる土佐弁の“きい・ほら”が耳障りで不快感さえ覚えた。自分の阿波弁には全く気づかず、九州弁や広島弁の男達と「土佐弁なんて…」と話し合っていたものだったのである。  

571 配管工事⑭おらんく池配管

メダカカレイ
  新しく大型のタッチングプール(おらんく池)を作る計画が持ち上がった。排水のほうはすぐ近くに大きな排水桝があるが、給水管は13㎜の細い管しか来てなくて水量が足りない。かなり厄介な工事になりそうなので業者に見積を頼んだ。ところが現場で説明を聞いた業者は“工事不能”と逃げてしまった。仕方なく自分でやることに。業者が一番嫌がった100㎜の給水管に無理矢理30㎜の分岐穴を開け、塩ビ溶接でバルブを取り付けた。その先はインターロッキングブロックを5mほど剝がし、さらに15mほど植え込みを掘り返し、半月あまりかかったが30㎜の配管をなんとかやっつけたのである。

 “配管工事”は終了。次週からは“土佐弁と私”のシリーズになります。

570 配管工事⑬2階への配管

ムツゴロウ
  当館の2階スペースには水槽を置かない設計だったので、水回りの配管がなかった。しかし「どうしても水槽を…」とのことで私が配管することになった。鉄筋コンクリートの床は18㎝。水道と海水の給水管は13㎜なのでコンクリートドリルでなんとか開けたが、排水管は少なくとも25㎜以上の穴が必要になる。まずは10㎜のガイド穴を開けて、そこに25㎜のドリルを入れると、予想どうり鉄筋に突き当った。場所を5㎝ほどずらせで開け直し。壁裏の狭いスペースの中で、体をよじらせながらの作業!。業者なら嫌がって絶対にやってくれそうにない場所に、水道・海水と排水管を通したのである。

569 配管工事⑫カワウソ舎排水管

ミノカサゴ
  カワウソの飼育を計画した時、獣舎については業者に発注したが、経費節減のために排水管は私の仕事になった。まず水道代節約のために濾過循環装置をセット。排水管は30mほどと長いので50㎜の太目のパイプを使用した。ところが飼育を始めて間もなく「排水管が詰まって流れない」と言ってきた。原因は小骨。カワウソは餌の魚の骨を全く消化出来ないらしく、糞には大量の小骨が混じっている。それが獣舎清掃のたびに排水管の底に少しづつたまり、プール洗いの時に一気に流れて詰まってしまうのである。毎月のように管を外してエンジンポンプで吹き飛ばしてやらなければならない。そこで考えたのが“小骨受け桝”である。排水管の途中に50㎝角の古い塩ビ水槽をかませて、そこに溜まった小骨を定期的に玉網で取り出すようにセットしたのである。

568 配管工事⑪バルブ取替

マツカサウオ2
  イルカプール(現在はトドプール)の100㎜の注水管にはバタフライバルブが使用されている。この種のバルブは、取り付けスペースや費用の面で大きなメリットがあるが、砂粒に弱いという欠点がある。取水井戸から入り込む少量の砂粒によって、パッキンが少しづつ傷つき、5年ほどでピッタリ止まらなくなってしまった。しばらくは我慢して使っていたが、水漏れがあると清掃時にやりにくいので「どうしても直してほしい」と言われた。取替は難敵だった。フランジの隙間がギリギリでゴムパッキンが一緒に入ってくれないのである。フランジを切り継ぎするにはスペースが足りず、コンクリートのバルブボックスを壊さねばならない。丸一日考えて決行したのが接着剤作戦。ゴムパッキンを瞬間接着剤でバルブに貼り付け、さらにパッキンの一部を削って、狭いフランジの隙間に叩き込んで、なんとかやっつけることが出来たのである。

567 配管工事⑩釣り堀り配管

ホシザメ
  10年ほど前、館長が「釣り堀りをやりたい」と言い出した。その場所には海水が来てないので、私がメイン配管のエア抜きパイプを利用して、13㎜のパイプで配管した。ところが「魚の調子が良くないので、もっと水量が…」と言い出した。そのあたりは給水本管しか通っていない。悩みぬいた末にたどり着いたのが、本管に分岐穴を開けること。50cmほどの深さの100㎜のアシカプール注水管を掘り出し、継ぎ手の所(管が二重になっている)を探して25㎜の穴を開ける。ポンプは止めているが、長いパイプからの逆流水が溢れ出し、汲みだすのに手間取った。分岐バルブの熔接は30分ほどでやっつけたが、ポンプの再起動ができたのは、真夜中になってしまったことを覚えている。

566 配管工事⑨エアロック

ヘラヤガラ
  50mほどの長い排水管を設置した時のことである。水量は毎分10ℓほどと少ないのだが、高低差か゜30㎝たらずしかないので、用心して40㎜の太目のパイプをセットした。始めは順調に流れていたが、時々手元で溢れる現象が現れはじめた。目詰まりは考えられなかったが、試しに強制的に流すとスイスイ流れる。しかし数日で流れが悪くなってくる。悩んだ末にたどり着いたのがエアロックだった。長い配管の途中で少しだけ波打っているところがあり、流量が少ないとその部分に気泡が溜まってくることがある。その気泡が流れを止めてしまうのである。用心が裏目に出たようで、管が太すぎて流れがゆっくりになりすぎてしまったのが原因だった。途中二箇所にエア抜き穴を開けると、順調に流れるようになったのである。

565 配管工事⑧天水利用

フリソデウオ
  山井戸の利用先が増えるにつれて、やはり水切れも起こり始めた。そこで考えたのが天水をそのまま利用することだった。本館の屋上は12m×15m。ここに10㎜の雨が降ると水量は約2トンの計算になる。山井戸が水切れになった時、10㎜ほどの雨が降っても井戸に浸みだして来るまでに丸一日はかかるし、途中で消えてしまうこともあり得る。その点、屋上の雨はそのままタンクに直行である。屋上からの排水管を切り継ぎ、枯れ葉やヘドロ、それに大雨の時の水を逃がすバイパス管を組み込んで貯水タンクへ引き込んだ。この配管が渇水時に即効効果を発揮してくれているのである。

564 配管工事⑦山井戸タンク

ヒイラギ
  5年ほど前のこと、館長が「年間120万ほどの水道代を井戸水を利用してなんとか安く出来ないか」と言ってきた。しかし裏山の井戸は後ろの山が浅いため、雨が2週間ほど降らないと水切れになる。当時すでにザリガニに給水していたが、夏場と春先には度々水切れでポンプが自動停止していた。さらに作業用に使用するには、毎週確実に20㎜ほどの雨が降らないと使い勝手が悪い。そこで考えたのが“貯水タンク”である。雨の直後なら十分な水量があるので、その時にタンクに取り貯めて使えば、かなり役立ちそうに思えた。1.5トンのタンク(15万円)を2基と加圧用のポンプ(5万円)をセット。この水を作業場・ペンギン舎・カワウソ舎などに配管し、水道代をを年間15万円余り節約することが出来ているのである。  (続く)  
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