233 井戸のお話⑫井戸の場所

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桂浜にある5本の井戸は、“景観に配慮”との高知市からの要請で、
20cmほど砂に埋めるように設計されている。

けれども砂の移動(減少)によってNo.1と2は砂浜から顔を出してしまっている。
しかし他の3本の場所を見つけるのは大変である。
2m四方のコンクリートの上に、直径1.5mの蓋があるかなり大きな物だが、
砂の中だとなかなか見つからない。

細い鉄棒を砂に差し込みながら探って歩く。
コンクリートに当ればカチン、蓋に当ればボンと音がしてホッとする。
そこで私は遊歩道上にステンレスのビスを打ち込み、
このビスから何m(何歩)と、図面に残してある。

今春までは若いのに教えて、引きついでもらうようにしていたのだが、急な退社で困惑している。
もしも私がポックリ急死でもしたら、どうなることやら。



桂浜水族館公式ホームページ  2011年11月19日(土) 掲載

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232 井戸のお話⑪井戸掘り(続き)

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海水面に至ってからは、側(枠)を沈めるペースがガクンとおちる。
ゆがみの調整も加わって1m(側1個分)沈めるのに2日以上。
深くなると空気ボンベを背負っての潜水作業になるので、
主として干潮時を待つのでなかなか進まない。

私は深さが気になり「あとどれぐらい掘れそうですか」と
度々声をかけながら作業を見守っていた。
9個目の側を用意して「この側が収まったら上等の井戸になるよ」と言いながら。

ボンベを背負って井戸に入った親方が「あかん!高谷君、岩に当った」と叫んだ。
なんとかあと50cmほど掘って欲しいとたのみ込んだが、
「ドロドロの中へ潜って砂をかき出すことは出来るけど、
大きな岩盤は動かせない」とのことで結局No.1・2井戸は
側8個(8m)までしか掘れなかった。

ふだんは大丈夫だが、冬場の大潮時には干あがり(53潮番)を覚悟しなければならなくなったのである。



桂浜水族館公式ホームページ  2011年11月12日(土) 掲載

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231 井戸のお話⑪井戸掘り

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順が逆になってしまったが、井戸掘りのお話も。

先々代の館長に聞いたりして、知識としてはわかっているつもりだったが、実際は随分違っていた。
それは当館の井戸が“砂浜”に掘られた“海水井戸”だからであった。

普通の井戸なら、水脈を探して土砂を掘り進むが、海水井戸の場合は水脈の心配はいらない。
しかし崩れやすい砂を掘るので、次々とまわりから崩れてくるアリ地獄状態の中を掘り進めねばならない。
掘っても掘っても崩れてくる砂と戦いながら、5cm・10cmのペースで井戸側(枠)を沈めてゆく。
せまい井戸側の中でバケツに砂を入れ、上の係が電動ウインチで巻き揚げる。

3日余りで6個の井戸側をつないでいったあたり(6m余り)で海水面に到達し、水中の作業になる。
ここからが難関なのである。(続く)


桂浜水族館公式ホームページ  2011年11月05日(土) 掲載

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230 井戸のお話⑩穴あけ

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冬場の干潮時の渇水対策を考えていて、井戸側に穴をあけてみることを思いついた。
夜中の大潮の干潮時に井戸に入り、コンクリートドリルで10mmの穴をあけてみた。

ポンプの稼働中は水位が40cmほど下るので、
その分の水が出てくれると信じてあけてみたら、毎分10ℓほどの水が噴き出した。

「ヤッタ」と思って1本3~5分かけて、2時間余りで30本ほどの穴をあけると、
井戸の中の水位は20cmほど上昇した。

大成功と思って大喜びしたのだが、1ヶ月ほどして干潮時にのぞいてみると、
半分以上の穴が目詰まりしてしまっていて、ガックリである。




桂浜水族館公式ホームページ  2011年10月29日(土) 掲載

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229 井戸のお話⑨井戸掃除“器”(続き)

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小砂を効率良く掃除する方法がないか考えた末“水中掃除器”を考案した。
直径30cm・長さ40cmほどの塩ビパイプをタンクにして、
それをエンジンポンプにつなぎ、水と共に吸い揚げた小砂だけが、タンクに残るように細工した。

この方法だと、グリ石ごと引き揚げなくてもよいので大成功!
しかし重大な欠点があることもわかった。

桂浜の井戸は水面から蓋まで6mほどあり、エンジンポンプの吸いあげ揚程ギリギリなのである。
干潮時には、吸い揚げ不能になってしまうこともある。

だからこの“水中掃除器”は、井戸の水位が高い満潮時にしか使えない。
そうすると井戸の中では、潜って息をつめての作業になる。
しかしそれでもこの方法だと、ニゴリも出ないし短時間で終えることが出来るようになったのである。



桂浜水族館公式ホームページ  2011年10月22日(土) 掲載

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228 井戸のお話⑨井戸掃除(続き)

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井戸掃除は私が井戸の底に入りM(北海道出身・平成20年退社)が上でバケツを引き揚げる係をしていた。
井戸は内径1.3m。もしも上から何か落とされたりしたら逃げ場はない。
だから上にいる者を信頼していなければ中には入れない。

しかしながら私はMに嫌われ???ていたようである。
度々井戸の中で攻撃を受けている。ある時「あっ」と大声がしたとたん、目の前にドライバーが落ちてきた。
それ以後「あっ」を聞いたら水中に潜るように心がけた。
遅れてしまって肩に小石を受けたこともあれば、頭に当ったけど水中だったので大丈夫だったこともある。

一番あぶなかったのはロープが切れてグリ石入りのバケツが落ちてきた時。
幸い私には当らなかったが、Mは平あやまりだった。
しかしそのロープは私がセットしたものだったので、責任の大半は私のほうにあったようである。(続く)



桂浜水族館公式ホームページ  2011年10月15日(土) 掲載

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227 井戸のお話⑨井戸掃除

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井戸の底に砂が吹き出せば、ポンプに悪影響が出ることは十分想像出来た。
だからポンプの入れ替えの度に井戸の底に潜り、吹き出した砂を掃除した。
小砂交りのグリ石をバケツにすくい、いったん井戸の上に引き揚げる。
最初の一杯はいいが、その後はニゴリで何も見えない中、手探りの作業になる。

バケツ10~20杯ほど引き揚げて、小砂を洗いグリ石だけを元にもどして敷きつめる。
最近では道具も工夫して、数年に1回しかやらなくていいようになったが、
新築当初は毎年井戸の底での命がけの作業をする必要があった(続く)。



桂浜水族館公式ホームページ  2011年10月08日(土) 掲載

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226 井戸のお話⑧パニック

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平成3年10月9日にNo.3井戸のポンプが止った。
症状は漏電なので、グランドパッキンからの海水の浸入により、ポンプは完全に死亡したと思えた。

ポンプ屋さんを呼んで、井戸のフタを開けてビックリ!!。
そこには一滴の水もなく、井戸の半分まで砂に埋めつくされていた。

私はパニック状態「これは何!!」ポンプ屋さんも「昨日まで動いていたの?信じられない」。
その10日ほど前に台風が通過し、井戸の上まで波が打ちかけたが、ニゴリが少し出ただけだった。
あわてて井戸屋さんに来てもらう。
この井戸は何度も修理(220③No.3井戸)したあとがあり、その時の横穴から砂が流れ込んだようである。
井戸屋さんも「この状態で水を吸っていたなんて、信じられないね。
この浜の砂粒が粗いおかげかな」と云いつつ、2日ほどかけて埋もれた井戸を掘りなおしてくれたのである。


桂浜水族館公式ホームページ  2011年10月01日(土) 掲載

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225 井戸のお話⑦ポンプ(続き)

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ポンプの早死にはNo.1井戸でおこることが多いことがわかり、
その原因が細い砂粒であることがだんだんわかってきた。
確信したのは平成16年のこと。

その年は台風がいくつも土佐湾を襲い、井戸の上まで波が打ちかけた。
井戸蓋の隙間から多量の小砂が侵入したようで、ポンプは4ヶ月から半年ほどで次々と死んでいったのである。

隙間にゴムパッキンを入れて蓋からの侵入はおさえたが、
No.1井戸はグリ石の層が薄かったせいで砂の吹き出しが続いていた。
ポンプの入れかえにあわせて、自分でグリ石を敷きなおし、砂の吹き出しが少なくなってからは、
いずれのポンプも1年半から2年近く頑張ってくれるようになってきたのである。


桂浜水族館公式ホームページ  2011年09月24日(土) 掲載

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224 井戸のお話⑦ポンプ

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井戸から海水を汲みあげているのは、7.5KWの水中ポンプ。
昭和59年の新築当時は検討する時間が足りなくて、一般用(真水用)のポンプで間に合わせた。

しかしこのポンプは3ヶ月余りでペラがすり減り、吸水量が半分以下になってしまった。
そこで海水用の特殊仕様のポンプに切り替え、年1回メンテナンスしながら使うことにした。

この方法で15年ほど回してきたが、メーカーはこの高額なポンプの特殊加工をイヤがり(値上げ)だした。
仕方ないので一般用の安いポンプの、ペラとケースの一部だけをステンレスに取替えて、
本体は使い捨てにすることにした。

1年以上持ってくれれば、特殊仕様のポンプより安くなるのだが、バラつきが大きい。
2年ほど頑張ってくれるのもあれば、3~4ヶ月で死んでしまうのもある。
しかし経験を積むにつれて、そのあたり(早死に)の原因がだんだん見えてきた(続く)。



桂浜水族館公式ホームページ  2011年09月17日(土) 掲載

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223 井戸のお話⑥山井戸

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ついでに水族館の裏山にある真水の井戸のお話も。
この井戸は明治の頃に掘られたとか。

昭和30年代に上水道が桂浜に引き込まれるまでは、浜のおみやげ店の命綱であったそうな。
しかし裏山はあまり深くないので、湧水量は少なく乾期には水切れに悩まされていたとか。

昭和59年の、みやげ店の移転で、この井戸は水族館の専用となり、
私が水鳥池の注水用に100m余りの配管を埋設した。

しかし水鳥池はアシカプール(海水)に転用になり、この水はザリガニ水槽用に。
その後ザリガニだけではもったいないので、雨水タンク(屋上に降った雨を利用するタンク)と併用して、
清掃用の中水として利用されている。

湧水量はあまり多くないが、屋上の雨水は1日~2日で使い切るけど、
この井戸水は大雨のあとなどは、10日以上も利用出来るようである。




桂浜水族館公式ホームページ  2011年09月10日(土) 掲載

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222 井戸のお話⑤No.5井戸(アカメ井戸)

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水族館の真正面の遊歩道前に掘られた井戸で、
他の井戸は130cmなのに対して、この井戸だけは80cmの側を使っている。

理由は井戸屋さんが「大きい井戸は疲れるからこれで我慢して」と云ったからである。
この場所を選んだのは、水温が安定していることが
以前のボーリング調査でわかっていた(105 アカメ井戸)からである。

夏は26℃冬場は17℃と、他の井戸より上下2℃ほど変動が少ない。
当館の看板でもあるアカメは水温が15℃まで下ると命が危ないので、冬場はボイラーで温める必要があった。
しかしこの井戸のおかげで、それが不用になったのである。
塩分濃度が、雨の度に薄くなる欠陥があるのだが、アカメは汽水を好むのでピッタリの水であった。

しかもその排水は、チタンパイプで亀水槽に取り込んで暖房に使用したり、サンゴ水槽の冷却にも活用されている。現在はこの水を館内冷房に利用出来ないか知恵を絞っているところである。




桂浜水族館公式ホームページ  2011年09月03日(土) 掲載

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221 井戸のお話④No.4井戸

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この井戸は遊歩道から10mほど海側に離れている。
新築後5年ほどして、冬場の干潮時の水切れ対策として「もう1本井戸を掘って欲しい」と館長に頼み込んだ。

少しでも深い井戸が欲しいのだが砂浜の下の岩盤の位置などわかるはずもない。
やはり8mの所で岩盤に突き当ってしまった。
館長も井戸屋さんも「ここまでであきらめて」と云う。
あきらめきれない私は井戸の底に潜り細い鉄棒で岩盤を探ってみた。

不幸なのか幸いなのか井戸側の端30cmほどが引っかかっているようだった。
あと30cm南側を掘っていたらまだ1mほど深く掘れたかも知れないのである。
そこでこの井戸の内側に80cmの小さめの井戸側を入れてさらに1m余り掘ってもらうことにした。
そのおかげでこの井戸が私を冬場の潮番から解放してくれたのである。




桂浜水族館公式ホームページ 2011年08月27日(土) 掲載

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220 井戸のお話③No.3井戸

No.1・2番から15mほど離れて、やはり遊歩道沿いにあるのだが、
ふだんは10~20cmほど砂に埋もれている。

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昭和4年頃に掘られたと云ふこの井戸は、
本体部分の直径は90cmだが、上部は砂浜の変動(盛り上り)にあわせて
何度も修理(かさ上げ)された跡が残っている。

桂浜水族館を支え続けてくれたこの井戸も、80年の歳月には勝てず、
底部に大きな割れ目が出来てしまった。

昨年この部分の修理を試みたがうまくゆかず。
すでに引退してしまっている井戸掘り屋さんに相談に行き、
やっとなんとか使用可能な状態に戻すことが出来た。

しかしもうフルスロットルで吸うことは無理なようである。
この先は予備の井戸として、非常時以外は使わないようにして、
少しでも寿命を延ばしてやりたいと思っている。



桂浜水族館公式ホームページ  2011年08月20日(土) 掲載

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219 井戸のお話②No.1・2井戸

水族館から100m余りはなれた桂浜の遊歩道ぞいに、
2m四方のコンクリートで固められ、円形のフタのついたマンホール様のものが2基、
15mほどの間隔で顔を出している。これがNo.1・2の海水井戸である。
昭和59年の移転新築時に新しく掘られた。

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直径1.3m高さ1mの井戸側を8個つないでいるので、フタまでの深さは8m。
底にニギリコブシ大のグリ石を30cmほど敷きつめその上に7.5kwの水中ポンプが座っている。
毎分1tほどの海水を汲み揚げるのだが、スイッチを入れると、井戸の水位は40cmほど下った所で安定する。

井戸掘り屋さんの話では「こんなに大量の水の湧く井戸は世界でもここだけかも知れん。この浜の深い所の砂は粗い粒のそろった層になっているのだろう」とのこと。

しかし私としてはあと50cm深くまで掘ってほしかった。
冬場の大潮の干潮時には井戸は干上がって(53 潮番)しまうのである。





桂浜水族館公式ホームページ  2011年08月13日(土) 掲載

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218 井戸のお話①桂浜水族館の命

水族館の黎明期には、いずこも開放式(海水を直接引き込む方式)で、お魚を飼育展示していた。
この方式では水温のコントロールが出来ないため、お魚を通年飼育することが不可能に近かった。
だから今ではほとんどの水族館が濾過循環方式で水温を調節して飼育している。
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しかし桂浜では今も開放式で大部分の魚を飼育している。
それを可能にしているのが当館の海水井戸なのである。
桂浜の砂浜に掘られた井戸は地温の影響を受けるため、夏場は低く、
冬は高目に推移する(23 桂浜水族館の命)。

この井戸水のおかげで、土佐湾の魚が通年飼育出来、豊な水量によって水質が保たれる。
この井戸水が無ければ、桂浜水族館は80年間も生き残ることは出来なかったと思う。
現在5本の井戸から毎分3t余りの海水をくみあげている。それぞれの井戸を順次紹介してみようと思う。




桂浜水族館公式ホームページ  2011年08月06日(土) 掲載

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