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327 十番アカメ勝負

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最後はやっぱりアカメ釣り(32~34アカメ①②③)と思う。
大きさと数の勝負を繰りかえした。
一緒に並んで竿を出すことも多かったが、ぬけがけすることもあった。

目の前で喰わせて玉網係をやらされるよりも、
ぬけがけで「ゆうべ釣った大物」と自慢されるほうが悔しかった。

シーズンは5月から9月末までなので10月に集計することになっていたが、
負けているほうは10月になってもこっそり夜釣りに出かけたものである。

大体ひとシーズンに30~70cmのアカメを2人あわせて30尾余り釣りあげていた。
釣場にしていた製鉄所の廃止で、排水口から温水が出なくなり、
アカメ釣りから遠ざかるまでの約20年間で、
最大は相棒の78cmに対し私は72cm。

シーズン最多は相棒の32尾。私は24尾だった。
私のほうが上まわったシーズンもあるにはあるが、
イラレ(土佐弁で短気)の私は、
我慢強い相棒にアカメ釣りだけではなく釣り勝負全般において、
勝つことは出来なかったようである。





桂浜水族館公式ホームページ   2013年10月12日(土) 掲載

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326 九番 夜釣り勝負

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足摺岬近くの小さな漁港で、夜釣りの勝負を何度かしたことがある。

狙いは夜行性のイシモチ(1点)ハタンポ(1点)
キントキダイ(2点)アカマツカサ(3点)などである。

小魚の数釣りは私の得意で、その日は0時スタート後、
1時間ほどで20点ちかくリードしていた。

しかし相棒は一発逆転をたくらみ、大物狙いのシカケに変えて、
なんと1尾50点(50cm)と35点(35cm)のタマメをたて続けに釣りあげた。

悔しくて私も太いシカケに変えて、釣りあげたイシモチを餌にして再逆転をねらった。
しかし1時間ちかく、共になんの気配もない。

相棒が「突然魚の気配が消えた時は、きっと大物がひそんでいる」と云ったとたん
“ガツン”と大きな手ごたえ。

リールの糸がズルズルと引き出される
「おい、これは200点か500点ぐらい?」と云ふと、
満月のように曲った竿を見た相棒は「これはメーター級のクエかも知れない。
もし獲れたら1000点、いやこの先、生涯高谷さんを師匠と呼ばせてもらいます」との答え。

数分かけてジリジリと200m余りの道糸が出てゆき
「ああもうダメ」と思った瞬間、グングンと大きく首を振る手ごたえのあと、
フッと軽くなり、大逆転も“師匠”も夢と消えてしまったのである。





桂浜水族館公式ホームページ   2013年10月05日(土) 掲載

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325 八番グレ勝負

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グレ(メジナ)はチヌ釣りの外道で、
10~15cmのぐらいのものは入れ喰いになることもあるが、
我々のルールでは30cm以下(チヌは25cm)は対象外である。

引きの強さはチヌと変らないが、
チヌはツンツンと竿が振れる(首振りと呼ばれている)のに対し、
グレはグーイグーイと云ふ感じなので、姿を見る前に予想がつく。

ちなみにニザダイはグーイが長く、
青ベラの場合はグーイと引いたあとフッと浮いてくる。

グレにもどるが、40cm近い大型のグレはグーイが続き、なかなか弱らない。
足元まで引き寄せても油断がならない。

しかしこのグレ勝負は常に私の勝ちになる。
釣った魚は水族館まで連れて帰って翌日まで生きていることが条件なのに、
グレが大好きな相棒は「グレはおかず」と云ってその場で〆てしまうので釣果に数えられないのである。



桂浜水族館公式ホームページ   2013年09月28日(土) 掲載

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324 七番オヤビッチャ勝負 

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スズメダイの仲間のオヤビッチャは、
ベラやカゴカキなどと共に餌取り魚の代表格だが、
カゴカキやベラもいないような水温の低い春先などにも
、散餌に群がってくることがある。

チヌの気配も感じないので、
仕方なくオヤビッチャ勝負に切り替えたこともあった。

細いハリスと小さな鈎に付け替えて、
小さくちぎったオキアミを刺して流す。

視力のいい私は散餌と鈎についた餌を見分けている。
ウマハゲの時と同様、竿先の感覚で釣る相棒よりは明らかに分が良かった。

負けず嫌いの相棒は、形勢が悪くなって来ると
「チヌ1尾でオヤビッチャ20尾分だぞ」と勝手にルールを作り、
チヌ釣りのシカケにもどしてしまうこともあった。




桂浜水族館公式ホームページ   2013年09月21日(土) 掲載

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323 六番イシダイ勝負

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サンバソウの別名を持つ、縞模様のきれいな10cm前後の幼魚は、
アサリやオキアミを餌にして秋から初冬にたくさん釣れる。

だからこのサイズは勝負の対象にはならない。
しかし30cmを越えて、そろそろ縞が消えはじめるころの
イシダイは釣りごたえがある。

イシダイ勝負の時は、数日前から漁場につぶしたアサリをまいておく。
私はイシダイ用の強い竿と大きめのリールに太目の3号のハリスを使ふ。
引きの強い魚なので力任せに引き揚げないと根にもぐり込まれる。

しかし相棒はチヌ用のシカケで2号より太いハリスは使わない。
「おれはプロだから、やわらかい竿でもイシダイを引き寄せる自信がある」と云うのである。

だからこの勝負は見え見えである。
用心深いイシダイは、私の餌には滅多に喰いつかないのに対し、
相棒は私の3~4倍は喰わせて、やり取りを楽しんで私を悔しがらせるのである。




桂浜水族館公式ホームページ   2013年09月14日(土) 掲載

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322 五番ウマハゲ勝負

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口が小さく餌をガジガジかじり取る魚なので、鈎にかかりにくい。
そのウマヅラハギを釣るには、見釣り(餌のついた鈎を見ながら合わせを入れる)か、
又は竿先の感覚で合わせる感釣りのどちらかで、ウキ釣りでは釣果がかなり落ちる。

視力のいい私は見釣り、近視ぎみだが運動神経に自信のある相棒は、
穂先の細い感度のいい竿で釣っていた。

酸素不足に弱いウマハゲは、バケツに20尾以上入れると弱るので、
先に10尾釣ったほうが勝ち。

“負けたほうは1kmほど離れた水族館まで運ぶ”と云ふルールで勝負を重ねた。
この勝負は私が少し有利に進んだ。

ある時はお互いに3回ずつ往復して、
2時間足らずの間に100尾以上釣りあげたこともあった。

しかしこのウマヅラハギは地球温暖化がもたらした海水温の上昇に伴い、
20年ほど前に突然太平洋側から姿を消してしまっている(178大敷網漁⑬ウマハゲ)。






桂浜水族館公式ホームページ   2013年09月07日(土) 掲載

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321 四番 ガシラ勝負

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土佐ではカサゴのことをガシラと呼んでいる。

昔(昭和50年頃)は桂浜でもたくさん釣れていた。
白身でおいしい魚なのに、なぜか釣人は相手にせず捨てられていた。
(63釣り採集⑦カサゴ)。

しかし水族館では、あつかいやすく長生きするので、
展示魚として重宝していたのである。

冬場水温が下がり、他の魚の活性が落ちて釣果が見込めないような時など
「今日はガシラ勝負にしよう」と、リールなしで大きい重りと
大きい鈎の専用シカケで出かけることもあった。

ブクブク(エアポンプ)をセットした20ℓのバケツに、
10~15cmのガシラなら20尾ほど入るが、
水量なども考えて先に10尾釣って帰ったほうが勝ちと云ふルールだった。

この勝負は釣場を次々とさぐるようにして回るので、
身軽な相棒は私が行けないような磯に飛び移って、
釣果を見せつけてくれる。

相棒の勝率は7~8割ぐらいだったと思う。




桂浜水族館公式ホームページ   2013年08月31日(土) 掲載

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320 三番 ベラ勝負

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桂浜周辺で釣れるベラは、主にキュウセン・ササノハベラ・ニシキベラの3種類である。

ニシキベラは、その気になればいくらでも釣れるので、
勝負の対象にはならない。
ササノハベラもメスは点数が付かないが、
大型のオスは2点、キュウセンの赤(メス)は1点青(オス)は2点で、
大きいのにはボーナス点もつく。

しかし釣りの目的はあくまでチヌなので、
チヌの気配がなくて、外道のベラしか釣れない時だけ勝負の対象となるのである。

このベラ勝負になった時は、私が勝つことが多かった。
それは私のシカケが常に相棒より浅い位置に入れられていることに起因するようである。
私はチヌがいなければベラに切りかかるが、相棒はあくまでチヌを狙って深く沈める。
そして納竿直前にチヌを仕留めて一発逆転!私を悔しがらせてくれるのである。






桂浜水族館公式ホームページ   2013年08月24日(土) 掲載

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319 二番ヒラスズキ勝負

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桂浜では、年によって30~40cmほどのフッコ(スズキの幼名)が釣れることがある。

秋から冬にかけて荒い波が礁に打ちかけているような日が狙い目である。
多い時は2人で10尾ほど釣りあげたこともあった。

しかし私は81cmのスズキ(⑦運命の魚)を釣ったことがあるのを自慢すると
「それはボクが就職する前だから無効だ」と主張していた。
この門答は10年以上繰り返されていたので、彼はかなり気にしていたと思われる。

ある時双眼鏡で沖を見ていた相棒が「スズキが来てる!!」と
興奮気味に云って「いい餌がある」と、数日前に玉網ですくってあった
トウゴロイワシをバケツに入れて走った。

そして数分後80cm近いヒラスズキを抱きかかえて帰ってきた。

「まだおる」との声に私も仕事を放り出して走る。

イワシを餌に泳がせるとすぐに当り。
75cmを雨合羽に包んで水族館へ。

この時の勝負は私が70cmクラスを4尾。
相棒も4尾だったが、最後の1尾は96cmもあり、私の完敗となったのである。



桂浜水族館公式ホームページ   2013年08月17日(土) 掲載

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318 一番チヌ勝負

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相棒と最も多くの勝負を繰り返したのがチヌ釣りである。

土佐ではクロダイもキビレもチヌと呼んでいるが、
外洋に面した桂浜ではほとんどがクロダイで、
メッタに釣れないキビレは勝負の対象外であった。

早朝や夜釣りも含めて、何度も何度も釣果を自慢しあったものである。
体長(全長)では私の45cm(⑪天国から地獄)が最大だったが、
数(対象は25cm以上)では常に相棒には勝てなかった。

その理由は2人の性格によるもので、
私は当りが無いとすぐに見切をつけて、移動したり納竿するのに対し、
相棒はねばり強く、ウキが見えなくなっても「まだ散餌が残っている」と
云って頑張って、帰ろうとしない。

特に私のほうが勝っているような時は、
最後の最後での一発逆転をねらい、
本当に逆転されてしまったことも多かった。



桂浜水族館公式ホームページ   2013年08月10日(土)掲載

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317 釣り十番勝負(序)

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桂浜水族館では、
砂浜に掘った井戸から汲み揚げた海水(23桂浜水族館の命)を使って、
開放式(かけ流し)で魚類を飼育している。

この旧式なシステムでは、
水温をコントロールすることが出来ないので、
冬場の低水温にも耐えられる、土佐湾に常在する魚を主に展示していた。

その魚を集めるのに最も重要だったのが、釣り採集であった。
仕事の合い間をぬって、桂浜周辺の釣り場(57釣り採集①チヌ©釣り場)へ、
足繁く通い、相棒(101誠丸漂流記)と釣果を競いあったものである。

その相棒の誠(まこと)君は、矢口たかおの釣りまんがに、実名で登場したこともある、
自他共に認める“釣りキチ”だったが、10年余り前に病で亡くなった。
今回は彼との約20年間にわたる“釣り勝負”について書いてみたいと思う。





桂浜水族館公式ホームページ   2013年08月03日(土) 掲載

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プロフィール     ロリコンのおじん

もったいないおやじ

Author:もったいないおやじ
桂浜水族館を縁の下から支えて半世紀。

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