363 釣勝負番外編⑮陸釣り

トラフグ
 私は陸釣りでも、相棒に完敗だった。彼は水族館にアルバイトに来た、クリクリ瞳の“ヒトミちゃん”にひと目惚れ。速攻で釣り上げた。それに対して私は、学生時代の文通から足かけ七年もつきあって、もう私のものと思い込んでいた彼女を釣り逃がした(ことわざ①逃がした魚は大きい)。特徴的な四角い前歯(出っ歯ではない)と、すぐにふくれる丸顔がイメージに合うところから、ひそかに“ルブちゃん(トラフグの学名のrubripesより)”と呼んでいた娘だったが、「釣り上げた後の餌(生活)をどうするか(ことわざ②釣った魚に餌はいらない)」と悩んでいるうちに、見知らぬ男にさらわれてしまった(⑪天国から地獄・343桂浜への道⑭彼女・⑮DNA)。ナサケナーイ。それだけではない。失恋等で生活が乱れ、体調を崩しかけていた私を見かねた下宿のおばさんが作ってくれた朝食(これが撒き餌だった)を食べているうちに「うちの婿になりなさい」と売れ残りの娘を押し付けられた(ことわざ③残り物に福がある)。つまり私は“釣られた釣り師(⑳釣られた飼育員)”なのである。ナサケナーイ。ついでだからもう一つ、ロリコンの私(315鳥カゴより⑭ロリロリウオッチ)にはバカ息子が二人なのに、相棒はクリクリ瞳の娘が二人。グヤジー、グヤジー、グヤジー!。
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362 釣勝負番外編⑭イセエビ 

 イセエビ
 桂浜の新堤(57釣採集①チヌⒸ釣り場)で、相棒とイセエビ勝負をしたことがある。と言ってもチヌの夜釣り勝負のついでに,シカケを沈めておくだけの“運”の勝負である。直径一メートルほどの網の中央にサバの頭を留めておいて、それに集まってきたころあいを見て一気に引き上げる、カニ捕りのシカケである。だからこれは本当は釣勝負とは言えない。三回ほどの勝負で、私は800グラムの大型を含めて8尾。相棒は100グラムの1尾だけで、彼を悔しがらせた。実は私は以前そのあたりで潜水採集をしたことがあり、イセエビの住むコンクリートの大きな割れ目がある場所を知っていたので、その近くへシカケを沈めるズルをしていたのである。ところが翌年相棒に種明かしをして、その場所を譲ったのに、イセエビは全く姿を見せなかった。たぶんその割れ目が、砂で埋まってしまったのだろうと思う。以後何回やっても全く獲れなくなってしまっている。

361 釣勝負番外編⑬エゾイソアイナメ

エゾイソアイナメ

 夕方になって、チヌの当たりもなくゴンズイのような魚が釣れたので、相棒に「ゴンがきたからもう帰ろう」と言うと「ちょっと違うみたいですよ」と言うので、よく見るとチゴタラのようだった。しかし深海魚のチゴタラが、こんな所で釣れるわけがない。とにかく初めて見るレア物だったので、二人で真っ暗になるまで一時間以上頑張って、6尾釣り揚げた。帰って調べてみると、どうやらエゾイソアイナメのようである。こちらは浅場で釣れることもあるらしいが、北方系の魚なので「水温が20度を越えている五月の桂浜で釣れることは考えられない」などと話ながら、翌日も夕方から二時間ほど頑張って、6尾釣り揚げた。しかしその後30年、この魚の姿を見たことはない。

追伸 イラストは、係りのマナティーが突然退社したため、切絵が得意な当館の丸林画伯にお願いしました。

360 釣り勝負番外編⑫ヒラメ

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 桂浜の釣り場は磯になっていて、海底は岩がむき出しなので、砂地を好むヒラメは寄りつかない。しかしある年、相棒が25~40cmのヒラメをたて続けに釣りあげたことがあった。その年は台風の波が大量の砂を運び込んで埋めつくし、釣り場の底が岩場から砂場に変ってしまっていた。したがってチヌもガシラも全く寄りつかないので、釣り人も来なくなっていた。しかし相棒は根気よく通って散餌をくりかえし、ヒラメを呼び寄せたようである。その釣果を見て私もあわてて通ってみたが他人の褌。私の分は一尾も残っていなかった。グヤジー!

359 釣り勝負番外編⑪ツキチョウ

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 チョウチョウウオの仲間は散き餌に群がってくるが、口が小さく鈎に付いた餌も上手に取ってしまう。餌取り名人で、釣りのやっかいものである。しかしチョウチョウウオが欲しい時には、シカケを特別に小さくして狙ふこともある。数の多いチョウチョウウオは1点、トゲチョウやチョウハンは3点、きれいなセグロチョウは5点などで相棒に勝負を持ちかける。餌をツツくところを見ながら釣るので、視力のいい私が負けることはあまりなかったが、なぜか相棒は点数の高いチョウを釣りあげる。私がかなりリードしていたのに、最後に超レア物のツキチョウチョウウオ(マニアの間では数万円の値がつくとか)を釣りあげて大逆点されたこともあった。グヤジー!

358 釣り勝負番外編⑩ミギマキ

ミギマキ

 土佐ではタカノハダイのことをヒダリマキと呼んでいる。その近縁種にミギマキ(標準和名)がいるが、こちらは少し南方系なので桂浜で見かけたことはなかった。その日は私が室戸の大敷網で初めて見つけた2尾をつれて帰ると、相棒が興奮気味に「今日ミギマキを釣った」と言って来た。私はニヤッと笑ってトラックの水槽をのぞかせた。「ボクは3時ごろ釣ったけど、これは何時に獲れた?」と喰い下がる。「大敷は2時だからこっちが先だ」と云ふと「水族館の予備槽に入った時が入館だから、ボクのが先だ」と◎新種の立場をゆずらなかったのである。

357 釣り勝負番外編⑨オキナメジナ

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 相棒が30cm余りのグレを釣りあげた。見ていた私はグレをおかずと決めている相棒(325釣り十番勝負八番グレ勝負)に「今夜はグレ鍋だな」と云ふと「ちょっとちがう。この線はオキナメジナだ。これはもしかして◎新種?」と聞くので「以前、室戸の潮溜りで獲ったことがあるので○新種だ」と云ったとたん「◎でないなら食べてみよう」と私が止める前に〆てしまった。実は室戸では、潮溜りの中で追いまわしたあげく逃げられた経験があった。しかし悔しいので◎ではなく○に格下げしてやろうと思ったのがまちがいだった。ちなみに翌日「磯臭くて、おいしくはなかった」との報告があり、よけいに残念に思った。以後桂浜にオキナメジナが入館したことはない。

356 釣り勝負番外編⑧ギマ

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 ギマはカワハギの仲間だが、銀色と黒のツートンカラーと、変った形から、水族館に欲しい魚の一つである。しかし内湾系の希少種で、ごくまれに投網などで捕獲されたものが持ち込まれることがあるのみだった。近くの浦戸湾内で釣れたとの情報はあるが、外洋に面した桂浜で釣れた話は聞いたこともなかった。そんなギマを相棒は私の目の前で釣りあげた。しかもチヌ釣りのシカケで!ハゲ類の特徴である小さい口にチヌ用の大きな鈎が喰い込んでいた。私も並んで竿を出していたのに、なんでなの。グヤジー!

355 釣り勝負番外編⑦ヒゲハギ

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 「変った魚が獲れた」との連絡をもらって、近くの漁協へ行ってみると、カワハギの仲間で図鑑でしか見たことのなかったヒゲハギだった。調べてみると、どこの水族館にもいないレア物だったので新聞・テレビを呼んだ。それを見たらしい別の漁協から「うちにもいるから取りに来て」とか「オレの網にも入ってた」などの情報が数件寄せられ、10日ほどの間に全部で6尾集った。そしてきわめつけが相棒だった。その日私はいそがしくて、相棒は1人で竜宮の磯で釣っていたが、浜にいた私に向って大きく手を振っているのが見えた。これは何かいいものを釣ったにちがいないと思い、釣り場へ急ぐと、バケツの中にいたのはなんとヒゲハギだった。グヤジー!。そのヒゲハギ達は2年余り生存展示されていたが、以後30年以上、姿も情報も全く入ってこない、まぼろしの魚になってしまっている。

354 釣り勝負番外編⑥ベラギンポ

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 5月中旬になるとキス釣りが始まる。そしてその外道としてチャリコ(マダイ(3~5cm)の幼名)が混じる。その外道のチャリコを狙って投げ釣りをするのだが外道はチャリコだけではない。砂浜なのでクサフグ・アマギ・ツバメコノシロ。磯に近い所へ投げるとキューセン・ゴンズイなどの外、マダコが釣れることもある。みんな水族館のスター達なので、この投げ釣り採集には力が入る。ある時相棒が希少種のベラギンポ(67 釣り採集⑪ベラギンポ)を釣りあげた。ベラギンポはきれいな魚だが、砂に潜ってしまうので展示価値はあまりない。それでもレア物を見せつけられると悔しいので、私も力を入れて竿を振った。しかしチャリコもベラギンポも遠くまで投げるほど釣果が良い。この勝負は遠投力のある相棒が、シーズンに2~3尾釣るのに、私はベラギンポを1尾も釣りあげたことはない。グヤジー!

353 釣り勝負番外編⑤オトメベラ

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 桂浜の旧提(57 釣り採集①チヌ©釣り場)はニシキベラ・ササノハベラ・カゴカキ・グレ・ガシラなど、時季によっては空振りナシの良漁場である。特にニシキベラは、そのつもりになれば30分で20~30尾は釣れる。その日は相棒と2人でニシキベラを狙って竿を出した。数尾釣りあげたところで相棒が「オトメベラがいる」と言いだした。見るとまき餌のまわりのニシキベラに交って、一尾だけ黄色い体の魚が泳いでいる。オトメベラは足摺方面まで行けば時々見かけるが、桂浜では見たことがなかった。2人でその魚を狙って竿を振ったが、釣れるのはニシキベラばかり。一時間ほど頑張ったが、私はその日予定があって先に引きあげた。ところが日が暮れてから帰って来た相棒は、私の顔を見るなり、ニヤッと笑って「やっつけたよ」と20cmほどのオトメベラの入ったバケツを差出した。グヤジー!

352 釣り勝負番外編④サザナミヤッコ

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 サザナミヤッコはタテジマキンチャクダイと並ぶ、熱帯性海水魚の王様だと私は思っている。幼魚期は共に、濃紺の体に白い渦巻もようがきれいだし、成魚は40cm以上になり、迫力がある。南方系の魚なので、土佐湾では足摺や室戸の定置網に、ごくまれに入網するぐらいである。桂浜ではこれまでに一度だけ、潜水中に見かけたことがあった。ところがある秋の朝、相棒が「ゆうべあれからこいつを釣った」と自慢した。予備槽をのぞくと、そこにはなんと15cmほどの濃紺のサザナミヤッコが泳いでいた。一緒に竿を出していたのに「ポンプのぐわいが悪い」と私だけ呼ばれて帰ったあとのことである。あのまま並んで釣っていたら、私のほうに喰いついたかも知れないのに。グヤジー!

351 釣り勝負番外編③テンス

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 テンスはピンクの体にブルーのふちどりがあるきれいな魚。餌付きにくいこともあるが、ベラの仲間なので胸ビレだけを使った優雅な泳ぎの、水族館向きの魚である。小型の定置網やバッチ網に入網するが、桂浜周辺で釣れたことはなかった。それがある時竜宮の釣り場(57 釣り採集①チヌ©釣り場)で私の鈎にかかった。相棒に「ゆうべテンスを釣ったぞ」と自慢すると「え~!テンスなんて釣れるの~」とくやしがっていた。ところが数日後相棒がニヤニヤしながら私を手まねきする。「今朝の獲物」と指さした予備槽をのぞくと、黒いふちどりのベラのような見たこともない魚だった。「テンスの黒化型みたい。もう2度とこんなのが釣れることはないと思うよ、ウヒヒヒ…」と自慢しやがった。グヤジー!

350 釣り勝負番外編②タナバタウオ

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 相棒とウマヅラハギ勝負をしていた時のこと。ウマ狙いの特別小さいシカケを用意しての勝負である。私は鈎の付いた餌を見ながら釣るが、相棒は竿先の感覚で釣る(332 五番ウマヅラ勝負)。したがって私は水面近くの魚を狙うのに対して、相棒のシカケは少し深い所を流れる。ウマ釣りに関しては私のほうが勝つことが多く、その日もだいぶリードしていた。ところが相棒が黒っぽい変な魚を釣り揚げて歓喜の大声をあげた「タナバタウオだー」。タナバタウオは小型で口も小さいので、釣り採集で手に入るような魚ではない。その上南方系で桂浜周辺は生息域から、かなり離れている。相棒はウマを別のバケツに移し、タナバタウオ1尾だけを入れたバケツを大切にかかえるようにして「今日は満足したから、ボクはこれだけ連れて帰る」とイソイソと水族館へ帰ってしまったのである。グヤジー!

349 釣り勝負番外編①サツキマス

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 その日はクサフグの攻撃に悩まされていた。クサフグはそのするどい歯で、釣糸を噛み切るので、釣針を何度も結びなおさねばならない。他の魚の当りもないので「今日はもう帰ろう」と声をかけると、相棒は「昨日の雨でニゴリぐわいがいいので、なんかきそうだからもうちょっと」と云ふので私も流していたら当りがあり、水面近くまで引き揚げたが糸が切れた。やはりクサフグが噛み傷を作っていたようだった。腹を返して逃げる姿から「多分セイゴ(スズキ)だろう」「セイゴなら群で来ることが多いから」と云ふうちに相棒に当りがあり、釣り揚げた魚を見て目を疑った。なんと、サツキマス!もちろん桂浜では初めての◎新種である。と云ふことは私が逃したのもサツキマスだったにちがいない。なんとしても私も、と頑張ったが釣れるのはクサフグばかり、ふだんならクサフグもバケツに入れて連れて帰るのだが、その日ばかりは釣れる度に、思い切りテトラポットに投げつけた。グヤジー!

348 釣り勝負番外編(序)

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 昔(旧水族館時代)「当館では土佐湾のお魚を中心に…」との呼び込み放送を流していたが、その言葉どうり当時の展示魚は、目の前の太平洋で釣り採集をした魚が大部分をしめていた。相棒だった誠君と2人で、真夜中・早朝を問わず競って採集にはげんだ(317~327 釣り十番勝負)。今回はその続編である。チヌやガシラ・ベラなどの、大きさや数釣りの勝負のほかに“レア物勝負”と云ふジャンルがあった。その時点で桂浜水族館に飼育していない魚は〇新種、歴代初めて入館の魚は◎新種として大きなポイントになった。ところがこの◎新種の勝負はなぜか相棒の独壇場で、いつもクヤシイ思いをしていた。クヤシくて思い出したくない気もするが、ネタ切れに困っているので、今回はこの“レア物勝負”について思い返してみたい。
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