
平成11年1月30日の事。私が通い続けている室戸の大敷網で、ミンククジラが捕獲されたところに出会った。解体作業を見物していて、骨が残りそうな気配だったので先長(船長)に聞いてみた。「骨はいらない。標本として残してくれたらオレもうれしい」と処理済の骨を市場の隅に集めておくよう指示してくれた。先長が記念品として持ち帰ろうとしていたクジラヒゲ(ヒゲ状の歯)を見つけて「それもちょうだい」とねだった。そしてその夜、桂浜の一角にこっそり埋めたのである。2年ちかく後に掘り出して漂白。頭・胴・尾などに4分割して木の台にのせた。標本展示は“手を触れないで下さい”が常識だが、私はあえて“さわってもいいです”と、かこいもなく、手の届くところに展示した。このクジラヒゲ付きでさわれる骨格標本は、桂浜の“看板スター”と私は思っている。
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