473 エコおやじ切腹?⑩切腹???

ハナガサクラゲ
  家に帰ってシャワーを浴び、牛乳200ccを一気に飲んで、夕方7時には自分のベッドへ。二晩、ほとんど眠れてなかったせいもあって、朝7時過ぎまで夢も見ずにぐっすり眠った。しかしさすがに、ダメージの回復は12時間では無理だったようで、その日は食欲も出ずバナナや小夏(土佐特産の夏みかん)・菓子パンを少しずつ食べて、一日じゅうベッドでゴロゴロの休養日だった。ところがここで鬼の女房が登場する。夕方になって「出かけるのでアッシーを…」と言う。女房は、私が死に神に手招きされて苦悩していたことなど想像もできなかったようである。「俺は切腹してやっと退院したばかりの病人だぞ」と言うと「腹の皮をチョビッと切っただけ、盲腸よりも軽い手術でしょう。私は卓司(長男)の時20cm以上切って取り出してもらってるの。10cmも切ってないのに切腹なんて偉そうな…」。なるほど腹膜も切ってないので“切腹”とは言えないかも、と納得して3キロ余りの送り迎えを。しかしそのおかげで、この分なら明日は出勤して定時のプール洗いも出来そうだ、との感覚をつかめたのであった。     終わり
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472 エコおやじ切腹?⑨退院

ミズクラゲ
  朝8時頃、先生の巡回があり「回復が遅れているようなので、もう一泊して様子を見ましょうか」と言いつつ「この痛み止めの麻酔が効きすぎたのかも知れないね」と背中に入れたチューブを抜きながら「でも今回は痛みが少なかったでしょう…」。私はすでに歩ける見通しが立っていたので「もう大丈夫ですので予定どうり帰りたい」と。しかし「まあ夕方までは…」ということになった。背中のチューブを抜いたらすぐ左足の痛覚が戻り、右足も急速に回復した。10時には導尿パイプを外してもらい、1時には自力で歩いてトイレに。便器に座り込み、導尿パイプを抜いた名残の焼け付くような排尿痛に耐えながら、今回の手術のアクシデントを振り返り、無事終わった実感に浸った。夕方、待ちかねた先生からの退院許可が下り、大急ぎで女房に迎えの電話を入れたのであった。    つづく

471 エコおやじ切腹?⑧死に神

タコクラゲ
  そんな私の頭のへ、こっそりと死に神が忍び込んできた。私はこれまでの人生にほぼ満足している。この先の人生に楽しみがあるとしたら、可愛い女の子の孫を抱っこナメナメ(315鳥カゴより⑭ロリロリウオッチ)したいだけなのだが、頼みの息子達には結婚の気配も見えない。もし車椅子生活になってしまったりしたら、もう生きていたくない。女房に邪魔者扱いされながらの生活は、私には耐えられない。ここは8階だから窓から飛び降りれば済むことだ。片足は動くので窓は越せる。窓が開くことは昨夜風を入れて確認している(後でわかったのだが、8階なので安全のために10cmほどしか開かない)。夜明けまでに回復の気配がなければ決行するつもりで、簡単な遺書も書いた。死に神との対話は2時間余り続いたが、ふと気づくと右足の指が3本動いた。午前3時過ぎには足首に力が入るようになってきた。これなら松葉杖で歩けるかもしれない。4時には右足の外側に感覚が現れた。その頃には死に神は黙って姿を消した。7時になると膝まで動かせるようになってきたのである。    つづく

470 エコおやじ切腹?⑦ナースコール

キタ水クラゲ
  これが正常だとは思えない。注射針で神経が傷ついたか、麻酔が強すぎて回復不能に?、それなら解毒剤とか?。今なら指が2本動くので早くリハビリを始めれば?。などとだんだん不安がつのり、麻酔から12時間が過ぎた午前0時には、我慢しきれずとうとうナースコールのボタンを押してしまった。「麻酔の先生を呼んでもらえませんか。私の足はもう使えなくなって車椅子生活になるのでは?」と訴えた。しかし「ちょっと遅れているだけです。大丈夫ですよ」と相手にしてくれない。1時になっても回復の兆しは無く「これはもう絶対に車椅子だ…」と考えると後悔が始まった。「脱腸なんて注意してうまく付き合えば問題は起こらないのに、無理やり手術をさせられたせいだ…」と女房を恨み「これは医療ミスだ。麻酔の量をまちがえてたに違いない」などの考えが頭の中をグルグル回り続けたのである。    つづく

469 エコおやじ切腹?⑥異変?

カツオノエボシ
  夕方、左足に感覚が戻り始めた頃、手術をしてくれた三木先生の巡回があり「麻酔が切れたら歩いても食べてもOKね」と言って帰る。まだ食欲は出ないが、痛みはほとんどないので、あとは待つだけだと思っていた。しかしおかしいと感じることもあった。今回は左側を手術したので左側に強く麻酔がかかり、右足のほうは手術中も指4本が自力で動かせていた。だから麻酔も右側から解け始めるものと思っていたのに、左足が先だったことに違和感を感じていた。夜9時頃には痛覚以外は解けた状態だったのに、右足は動いていたはずの指が2本しか動かなくなっている。不安になり巡回の看護師に「右足の麻痺が解けないけど…」と聞いてみたが「もうすぐですよ」と軽くあしらわれた。しかし私の“嫌な予感”は、だんだん「これは異常な状態では?」との“不安”に変化していったのである。    つづく

468 エコおやじ切腹?⑤無事終了??

オワンクラゲ
  手術は無事終わり、あとは麻酔が解ければOKと思っていた。これからが本番になるとは思いもよらなかったのである。前回は4~5時間後に麻酔が解けかかると同時に傷が痛み始め、体をピリとも動かせず、一睡も出来ずに夜明けまで。その後昼過ぎまでに牛乳100ccだけしか口に入れられなかった記憶がある。導尿パイプが外れたのは晩になってからだった。そして今回である。先生に「2泊3日」と言われていたので、痛み止めも進化していて、傷の回復も早いのだろうと思っていた。9年前と比べれば医療もかなり進歩していて、術後の立ち直りが早くなっているに違いないと、勝手に甘く見ていた。このあと12時間後に現れる苦悩は、全く予想外だったのである。    つづく

467 エコおやじ切腹?④見物

エチゼンクラゲ
  全身麻酔だと、そのままあの世まで送られそうな気分になる気がするので、腰椎からの部分麻酔でお願いしてあった。背中を丸めチクッとする痛み止めの注射の後、左足から温かくなってきた感じのところで仰向けに寝かされ、足がV字に開いているような感覚の状態でスタート。「まず導尿パイプを入れます」といわれたが、すでに私のペニスには感覚は無い。先生に「切ってるところが見たい」とお願いしたら「見たいの?変わった人だね」と言いつつモニターを少し曲げてくれた。消毒のヨーチンをベタベタ塗って「それではいきます」の声で腹にメスが走る。血はほとんど出ない。5cm余り切り開き、金具でつまんで広げる。私の腹のはずだが、豚肉かなにかを切ってるような変な感じ。粘膜状のものを次々と切ってガーゼに血を吸わせる。何がどうなったかよくわからないうちに「これから縫合して終了です」。“腹切り見物”のおかげで一時間余り、退屈せずに終わったのであった。   つづく

466 エコおやじ切腹?③入室まで

ウラシマクラゲ
  手術当日、若い看護師が元気な声で「毛剃りでーす」とバリカンを持ってきた。前回は年配のおばさんだったのに『こんな若い美人に剃られるのは嫌だ』と思ったとたん、彼女はバリカンを置いて立ち去り、すぐに年配の女性が現れた。「あんな若い娘に剃られたくない」と言うと、ふふふと笑って「私たちも心得ていますよ。でもあの娘も若く見えるけど30歳はだいぶ過ぎてて子供もいるし、もう10年以上ここにいるベテランよ。ちょっとからかわれたみたいね」。手術は11時半入室の予定で、それまでは例の可愛い見習い実習生が、心音・血圧・脈拍を取って付き合ってくれた。女房に遅れずに来るように連絡してあったのに現れず。代わりに可愛い実習生が付き添ってくれて、入室前にそっと手を握って励ましてくれた。エコおやじはニヤケながら手術室へ。    つづく

465 エコおやじ切腹?②今回

イオリクラゲ
  今回の手術は、やはり数年前から前回の反対側が膨らみ始めていたのを女房にひた隠しにしていたのに先月とうとう見つかって、前回と同じく大森病院への紹介状を持たされた。やはり前回と同じ三木先生が「今回は2泊3日で…」と手術が決まった。入院当日、私に看護師見習いの実習生が付いてくれることになり、武井咲によく似た綺麗な目の小柄な19歳を紹介された。その日は検査も無く退屈しそうに思っていたが、彼女は細い指で脈をとり、顔を近づけて聴診器を当てて心音を聞き、私を気遣って色々話しかけてくれて、こんな娘が付いてくれるなら、入院もいいものだと思ったりしたものだ。しかしその夜は、ベッドが変わったせいと手術の不安も重なって、ほとんど眠れないままだった。    つづく

464 エコおやじ切腹?①前回

アカクラゲ
  今回は、来月70歳を迎えるエコおやじの“切腹??”のお話しである。健康だけがとりえのバカおやじ。子供の頃から怪我や病気にあまり縁がなく、おなかも丈夫で、20歳以後は風邪引きの覚えもない。初めての入院・手術は、9年前の“鼠径ヘルニヤ”いわゆる“脱腸”である。50代後半から右足の付け根が膨らみはじめたので、通販などで見た“脱腸ベルト”を自作して、こっそり押さえたりしていたが効果はなかった。そのベルトを女房に見つかり無理やり近所の病院へ。先生は「子供の頃の脱腸は初期なら押さえて治ることもあるが、あなたの歳では無理。このまま付き合っていくことだね」と言ったあと「でもまあ息子にも見てもらって」と隣の診察室へ。一目見た若先生は「これは手術ですね。紹介状を…」と。それで結局3泊4日の生まれて初めての手術を経験したのであった。       つづく

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Author:もったいないおやじ
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