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622 悩まされた仕事⑨バルブⒼ切り替え弁(前)

ルリハタ
 昨年11月のことである。夜明け前に宿直員からTEL「大水槽(大型循環水槽)の濾過槽が空に!」慌てて行ってみると循環ポンプが空転する直前まで水位が下がっていた。差し当たって追加水を入れたが原因は不明。夜が明けてから調べてみたが、全く原因が見えない。水槽自体の漏れは有り得ない。配管のバルブもしっかり閉まっている。残るは地下の濾過槽にヒビが入り、地中へ漏れ出した可能性だけだが、調べるには時間がかかる。ポンプもバルブも完全に締切って、飼育魚にはエアレーションだけで頑張ってもらって、8時間ほど様子をみたが濾過槽からの漏れの症状は確認出来なかった。しかしそれでもポンプをかけて循環させると、毎分20ℓ余りの注水が必要になる。この水系は総水量が80tほどの、当館で唯一の大型循環水槽。原因がわからず頭を抱える日は2ヵ月余り続いたのである。
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621 悩まされた仕事⑨バルブⒻメクラキャップ

リュウキュウヒメジ
  アシカやペンギンの排水バルブもバタフライバルブ。このバルブのもう一つの欠点が中央に軸があること。新築から10年ほどして、この欠点が原因の不具合が現れはじめた。枯れ葉や小枝が引っかかり流れが悪くなることがたまにはあったが、それに加えてプール内に貼り付けられたFRPが、経年劣化で鱗のように次々と剝がれて引っかかるようになりだした。バルブを開けても流れが悪い時は、暗渠の中にはいり鉄棒で引き出さねばならない。これはびしょ濡れになりながらの作業になるので「なんとかして」と言われ続けた。そこでとうとうこのバルブを取り外し、代わりにL型パイプを取り付け、そこへメクラキャップを差し込んで排水を止める方法に変更したのである。

620 悩まされた仕事⑨バルブⒺバタフライバルブ

ラブカ3
  メインプールの注水バルブは100㎜のバタフライバルブ。この型のバルブはゲートバルブと違ってパッキンの部分が痛みやすい。特にこの水系は井戸から吸い揚げた砂粒が不思議と沢山集まり、半絞りの弁に次々引っかかり注水量が自然に減少してしまうバルブだった。だから私はプール洗いなどでこのバルブを閉める時は「必ず一度開放して引っかかった砂粒を流してから閉めるように」と指示しておいたのに、言いつけを守らない者がいてパッキンが痛み、水がピッタリ止まらなくなってきた。突っ張り棒で押しつけてしのげた時期もあったが、だんだん止めきれなくなってきた。トロトロ漏れる水を排水溝へ流すことで対応していたが、「どうしても直して欲しい」と泣きつかれ、苦心の末にバルブ交換を決行(568配管工事⑪バルブ取替)したのであった。

619 悩まされた仕事⑨バルブⒹ大型排水バルブ

ヨソギ
  イルカプール(現トドプール)の排水バルブは、プラスチック製なので海水にはびくともしないが、ゲートを上下させる回転軸のヘッドは鉄製で、それを上からレンチで回す。その鉄製のレンチは5年ほどで錆び折れたので、私が塩ビパイプで作り直した。ところが20年ほどしたらバルブのほうのヘッドも鉄製の首が折れてしまった。そこでヘッドの下部を四角く削りそれに合う塩ビパイプでレンチを作った。しかしそのレンチヘッドも3年ほどで角が錆び落ちて空転になるので、また四角く削り直す。10年余り前にこのバルブの取り替えを業者に相談したら50万円ほどの見積を出してきた。暗渠の中で真っ黒の鉄さびの粉を舞い散らせながらサンダーで削る。マスクをしていても鼻の穴の奥まで真っ黒。恐らく肺の中も真っ黒。私はこの作業をほぼ3年ごとに繰り返しているのである。

618 悩まされた仕事⑨バルブⒸ鉄製大型バルブ

ユウゼン
  旧館時代のイルカプールの鉄製排水バルブもかなり傷んでいた。こちらは軸ではなくゲート弁に隙間が出来てピッタリ止まらなくなっていたのである。その漏れは年々ひどくなり、入社10年ほどの頃にはかけ流しのプールの水位が保てなくなってきた。そこでプール清掃の後ゲート弁の隙間に、ぼろ布を押し込んで止めてみたりもしたが信頼できなくなってきた。とうとうこのバルブ諦め、プール内の排水ストレーナーの上に厚手のビニールシート敷いて止めることにしたが、これをイルカが喜んだ。くわえて引き剝がす遊びを始めたのである。ブロックで押さえたらそれを押しのける。組み合わせてイルカが動かせないように工夫するなど、随分楽しませてくれたものである。

617 悩まされた仕事⑨バルブⒷ真鍮バルブ

ヤリカタギ
  ペンギン舎の真鍮製の排水バルブは、私が就職した昭和46年頃には軸がすり減り空転が起こり始めていた。グラグラする軸を片方に押し当てて回すことで対応していたが、それも数年で限界を迎えた。このバルブはコンクリートに埋め込まれていて取り替え不能。そこで私は修理を試みた。引き抜くことのできた軸の再生である。トタン板を2㎜幅に細長く切りそれを1㎜幅のV字に折り曲げネジ山に巻き付け、エポキシ樹脂で貼り付けていったのである。これは一時的に大成功だったが、1~2年で樹脂が割れ、トタンが剝がれた。その度に修理を繰り返して、新築(昭和59年)までの10年余り面倒を見続けたのである。

616 悩まされた仕事⑨バルブⒶ旧館時代

モモイトヨリ
 桂浜水族館の誕生は、今から88年前の昭和6年4月とのこと。その頃のポンプやバルブなどは、さすがに私も知る由がない。第二次大戦中は軍が桂浜を管理下においていて、水族館は当然のこと強制閉館。ポンプやバルブなどの金属は供出させられていたはずである。昭和23年に再開したとの事だが、その頃にはまだプラスチック製品は出回っていなかった。昭和25年に作った25mプールの排水口は鉄製の大型ゲートバルブ。その後昭和29年製ペンギン舎もバルブは真鍮製だった。私が就職した昭和46年にはこれらのバルブはかなりくたびれていて、その扱いに苦労させられた。まずはその真鍮と鉄製のバルブの面倒をみていた話から、私を悩ませてくれた“バルブ”との戦いを書いてみたいと思う。

615 悩まされた仕事⑧大型クーラーⒷ冷水ポンプ

メバル
  飼育水を冷却するために、クーラーで作った冷水を熱交換器に送り込むためのポンプの話である。地下室の天井近くに設置されているラインポンプで、床上2mほどの配管の途中のにあり、点検や取り替えは脚立の上でやることになる上、狭い隙間に設置されているのでボルトナットの取り外しにも苦労がいる。このポンプは新築から10年余りで3回も壊れて私が取り替えたが、あまりにひどいのでポンプ屋に相談すると「過負荷かも…」との答え。バルブを半絞りにして電流値を下げると以来20年以上働き続けてくれているのである。

614 悩まされた仕事⑧大型クーラーⒶサーモスタット

ムラサメモンガラ
  開放式(かけ流し)が主体の当館にも、50tほどの循環水槽がある。この水槽用のクーラーは35年間文句も言わずに働き続けてくれているが、サーモスタットは出来が悪い。3年から5年ごとにダウンするのでクーラー屋に文句を言ったら「塩害ですから」と簡単に逃げられた。サーモの取り替えは2万円余りだが、それよりも発注から修理の完了まで、早くても3日「部品が取れない」とのことで半月ほどかかったことも。その間私が手動で温度調節をしなければならなかった。そこでもうサーモをあきらめ手動でコントロールすることに決めた。以来15年余り、夏場は朝夕調整を続けているのである。

613 悩まされた仕事⑦電気設備Ⓒ水槽照明

ミギマキ2
  台風や梅雨時などに、照明系統の漏電ブレーカーが落ちる。このブレーカーは館内のほとんどの照明やコンセントなどの主電源なので、館内は真っ暗になる。原因は塩害。館内では水槽への注水やエアレーションに伴って塩分が常時大量に飛散しているので、それが照明機やコンセントに付着し、大雨などで湿度があがると漏電が起きるのである。ブレーカーが落ちると水槽照明系統を切り離し、まず館内の照明を復活させてから水槽照明系統の器具やコンセントを乾いた布で拭いてまわる。塩分と湿度が原因なのは分かっているので、梅雨時の前には一通りの処理をしているのだが、それでもこの漏電は毎年のように繰り返されているのである。

612 悩まされた仕事⑦電気設備Ⓑペンギン舎(後)

マイワシ
  ところがある時、雨も降ってないのにブレーカーが落ちたことがあった。係に聞くと「年末大掃除でペンギン舎を洗っていた」とのことだった。そこで改めて調べてみると、これまで全く気付かなかった所に電気ボックスを見つけた。コンクリート壁に塗り込まれるような形で、その上から防水塗料がかけられていて、外からはほとんど見えない状態だったのである。「やっと見つけたこれに違いない」とボックスをこじ開けてみると、結線部が垂れ下がっていて、一目で絶縁不良が感じられた。結線部を補修してボックスをシリコンで丁寧にシール。以来この回路での漏電はピッタリと止まったのである。

611 悩まされた仕事⑦電気設備Ⓑペンギン舎(前)

ホシエイ
  大雨が降る度に、必ずと言っていいくらいペンギン舎系統の漏電ブレーカーが落ちる。この系統に繋がっているのは照明とカワウソ舎のヒーター等で、魚類とは全く別だから雨があがるのを待ってからブレーカーを入れればOKなのだが、カワウソ係に「雨の日は少し暗いのでカワウソ舎に照明が欲しい」と言われた。しかし調べても調べても漏電の場所が特定できない。漏電はその瞬間のみに反応することが多く、テスターで調べても正確なデータが取れないことが多いのである。「なんとかして…」と度々言われたが「わからん」と答えることしか出来なかったのである。   続く

610 悩まされた仕事⑦電気設備Ⓐ電気屋代行

ヘダイ
  旧館時代、電気設備は当時の館長が一手に握っていた(110感電②館長)が、昭和59年の移転新築以後は私の仕事になった。新築当時には電気トラブルはほとんどなかったが、そのうち増築や改装などで私は電気屋さんの助手として天井裏を這いまわり、ブロックを掘り返して配線を埋め込む手伝いを随分繰り返した。その電気屋さんに色々と教えてもらったものだったが、20年余り前に体調を崩してそのまま廃業してしまった。新しく電気屋さんを探してみだが、どの人もこちらの思惑どうりの仕事をしてくれない。仕方なく電気設備のほとんどを電気については全くの素人である私が、面倒を見続けているのが現状なのである。

609 悩まされた仕事⑥渇水警報Ⓓ復活

フウライウオ
  警報盤はギブアップ、とても私の手には負えないので知り合いの業者に何人か声をかけてみたが「警報盤はどうも」と断られた。館長がやっとなんとか「見てみましょう」と言う人を連れてきてくれたが、予想どうり「図面を…」と言われた。30年余りも前の盤だし私も見たことがない。「調べて図面を引いてみましょう」と言って、やり始めたのはリレーを引き抜いては差し替えるテストばかり「それは私のやってみた…」と言いたかったが飲み込んだ。数回通って調べに来てリレーを引き抜いていたが、さすがは専門家。「やっと怪しいと思える所が見えてきた」と言いつつリレーのテストを繰り返したのち、やっとのことで警報盤は復活したのである。

608 悩まされた仕事⑥渇水警報Ⓒブレーカー

 ヒブダイ2
 ところが次のシーズンの中頃、またしてもブザーがおかしくなってきた。今度は「早押ししても長押ししても止まってくれない。早く来て」と夜半に呼ばれた。ブーブーとうるさい中、やみくもにリレーの抜き差しを試してもダメ!。何しろ私は“魚屋”であって、お魚については少しは勉強したつもりだが、電気については全くの素人。まして警報盤なんてわかるわけがない。それでも私が何とかしなければならない立場にいるのである。たどり着いたのが警報電源「これを切れば全て止まる」と思ったが甘かった。この警報盤は停電警報と連動しているので、ブザーを鳴らすためのバッテリーに繋がっているので、ブーブーは止まってくれない。色々なめまわし、バッテリーに繋がっているそれらしいブレーカーを落としてなんとかブザー停止にたどり着くまで、真夜中に二時間余り!。疲れ果ててしまったのである。   続く

607 悩まされた仕事⑥渇水警報Ⓑリレー

ハオコゼ
  それから数年後、またしても真夜中に「ブザーが止まらない」との呼び出し電話。今度は「地下室のブザーを押してもダメ」とのこと。前回とは違って、地下室・作業場・入り口のいずれを押してもダメ!。やけくそでボタンをガタガタと早押しすると止まってくれた。これは接点ではないと解釈したが、その先の知識はない。多分沢山並んだリレーのどれかが不良なのだろうと想像して、わからないなりにリレーを引き抜いては差し替えてテストを繰り返し、少し焦げ目のついた怪しいと思えるリレーを見つけた。それを新品に取り替えるとブザーは正常に動くようになってくれたのである。   続く

606 悩まされた仕事⑥渇水警報機Ⓐ停止ボタン

ノミノクチ
  取水井戸の渇水警報のブザーが、異常な動きをするようになってきたのは10年ほど前のこと。この警報機は館内のどこにいてもわかるように、宿直室・作業場・切符売り場・地下室の四ケ所に設置されており、各所にある停止ボタンでブザー音だけは止まるようになっている。最初は宿直室から「ボタンを押しても音が止まらない」と呼び出されて、私が試しに地下室のボタンを押すと一発で止まった。宿直室では毎シーズンボタン操作を繰り返しているので、接点不良が起こっていたらしく、私が分解してヤスリで磨いて給油してやると、症状はなくなったのである。   続く

605 悩まされた仕事⑤井戸の渇水Ⓑ対策⑥新井戸

ネズミギス
  冬場の渇水対策で、月のうち半分以上を泊まり込んで徹夜の夜番をしている私を見かねた当時の館長が、新しく井戸を掘ってくれた(221井戸のお話④No4井戸)。4本井戸体制になってからは、それぞれの井戸からのポンプをかなり絞っても十分な水量がまかなえるようになり、夕方にその日の潮位を予想して絞りを入れて帰り、出勤時に開放すれば良くなり、泊まり込みから開放されたのである。ところがその後10年ほどして、一番古い80年ほど過ぎた井戸(No1井戸)が壊れてしまった。また元の3本体制にもどってしまったが、この新井戸は他の井戸よりもだいぶ深く掘れていて渇水には強く、基本的には夜番はなくなっている。それでも年に数回ほどは、夜中に呼び出されて対応しなければならないことが起こっているのである。

604 悩まされた仕事⑤井戸の渇水Ⓑ対策⑤おしっこ作戦

ヌタウナギ
  水位が下がり、ポンプが露出して冷却が出来なくなっておこる自動停止を防ぐには、露出した部分に水をかければいいかも、と考えて“おしっこ作戦”を思いついた。本体の横に立ち上がっている送水管に小さな穴を開け、ポンプにおしっこをかけてる状態になるようにセットしてみたのである。この作戦はかなりの効果があった。本体が30cm余り露出したあたりで起こっていた自動停止が、エア吸いが始まる直前の50cmちかくまで停止を引き伸ばせるようになったのである。

603 悩まされた仕事⑤井戸の渇水Ⓑ対策④穴あけ

ニザダイ
  桂浜の井戸は底部からのみ湧水する構造で、ポンプを起動すると水位は50cmほど下がってしまう。もし井戸の側面にも穴があればもっと水位を確保出来るかもと考えて、潮が特別によく引く時を狙って井戸側にコンクリートドリルで10㎜の穴あけてみた。その穴から毎分10リットルほどの水が噴き出してきたので、よし!と頑張ったが10㎝の厚さのコンクリートなので、一晩に20本ほど開けるのが精一杯。毎晩真夜中に井戸の底での作業を繰り返し、各井戸に50本づつほどの穴を開けた。これにより水位は30㎝ちかく上昇し、当初は大成功と思っていた。しかしその穴は少しづつ目詰まりが起こり、今では半分以上の穴が仕事をしなくなってしまっているのである。
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