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41 ⑦エコクーラー

  海水と気温の温度差を利用して、クーラーが作れないかと試したことがある。梅雨明けのころ、気温が30℃を大幅に超えていても当館の地下浸透海水は24℃くらいである。この温度差で館内の冷房が出来たらすばらしいエコクーラーになる。最初に車のラジエターで試してみた。しかし効率が良くない。次に廃棄された家庭用クーラーの室外機を使ってみた。ファンを回すと毎分10ℓの海水が4℃ほど高い28℃ぐらいに上げられている。毎時に直して2400kcalだから3~4台用意すれば充分な冷房になりそうだった。しかしこの室外機の銅管は海水に負けて半月たらずのテストで穴だらけになってしまった。次なる手段は霧作戦。海水を霧状にして吹き出してみた。これはすばらしい、館内の空気がヒンヤリ…。ところが翌日大変なことになっていた。館内のいたる所に水滴がビッシリ。しかもこれが塩からい!。気温は大きく下がったが大量の塩分を振りまいてしまったのである。大失敗のエコクーラーだった。

  現在ではミストシャワーが各地で活躍しているが、私の30年以上前のミストシャワーは海水だったので、稼働は20時間たらずだったのである。
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40 ⑥乱獲

  室戸岬近くの丸山海岸に、大きな潮溜りがある。私の潮汐水槽(⑬高谷水槽)の展示物は大半をそこで採集していた。大型のサンゴイソギンチャクが展示の中心だったが、くり返し採集して5年ほどの間にサンゴイソギンチャクの大き群落を獲りつくし、ほぼ絶滅させてしまった。仕方なく別の場所を開拓したが、波に弱かったり深かったりと採集条件はあまり良くなかった。そしていつも丸山海岸を気にかけていた。自然の回復はすばらしい。私が手を出すのをやめてから5年ほどして、やっと回復の兆しが見え始めたが、次の5年間でほぼ元の状態に戻ってしまった。最近は採集技術も向上しているので、以前のような乱獲ではなく、群落の限界を超えないように慎重に採集し、今も利用し続けている。

  サンゴイソギンチャクを採集する時、竹のヘラを使うようになってからは群落へのダメージを少なく採集出来るようになっている。

39 ⑤黒い爪

  巨大なマンボウ(140cm200kg)が入館した時のこと。餌の食いが悪く嫌がって吹き出すので、手で持って直接口の中へ入れていた。吹き出そうとする瞬間に、口を押さえると食べはじめる事が多い。マンボウ餌付けのノウハウである。ところが何回目かの時、突然強い力で吸い込まれてしまった。“あっ”と思った時はもう遅い。親指がスッポリ口の中へ!引き抜こうとした瞬間に、カマのような上歯と石臼のような下歯に、万力のような力でしめつけられた。指が抜けるほど引っぱって、食い切られることはまぬがれたが、一週間はハレ上がり、そのあとは爪が死んで真っ黒になってしまった。その失敗をゲラゲラ笑った同僚が、数日後同じ失敗をする。マンボウとよく似た口の構造を持った大きなイシガキフグ(80cm)に、やはり右手親指を噛まれ、2人して真っ黒い爪を半年余りにわたって見せあっていた。

  その爪は半年後に抜け落ち、全治にはほぼ一年かかった。

38 ④嚙まれる

  私の左手、人差指中指薬指にかけて、かすかだが白い傷跡が残っている。30年以上前にイルカに噛まれて大きく切れた跡である。手渡しで与えようとした餌がこぼれ落ち、私とイルカが同時に拾おうとした時、手が口の中に入り、慌てて手を引いた為に深い傷になってしまった。それから半年ほどあとになるが、イルカと一緒に泳いでいた時、太モモをガブッとやられたことがあった。攻撃ではなく、ジャレているのはわかっていたので足を引かず、押しもどすようにするとすぐに離してくれた。上下の歯によって、数個の穴があき、内3ヶ所からは血が流れ出した。もし足を引いていたら、大きな傷になったと思う。風の谷のナウシカが、旅のジイ様からもらったペットに噛まれた時と同じである。相手のもよるが、こちらの反応次第によってお互いのダメージは少なくなるのである。

  私は嚙まれてないが、アシカの係は必ず腕・足・頭など、どこかを嚙まれ、大怪我をした者も。傷跡を見せながら「アシカ係の勲章…」などと言う者もいる。

37 ③地獄絵図

  館長が趣味で飼っていた、高価なニシキゴイに寄生虫(イカリムシ)が発生。治療を任された時のこと(昭和54年秋)かなりきつい薬を使わねばならないので、慎重に量を計り投薬を開始した。しかし効き目が現れない。効果を高めるために5日目に海水を注入したのが大失敗!当日いろいろ別のトラブルがあり、慌てて計算したため、注水量の単位の“0”を1つ間違えて10倍の量を入れてしまったのである。本来なら注水後の様子の観察をしなければならないのに、別の作業に追われ帰りぎわのチェックも忘れて…。翌朝のコイ池はまさに地獄絵図。赤・白・黒、50から80cmの見事なニシキゴイの死体が数十尾、池をうずめつくしていた。その光景は今も時折夢に現れ、私を苦しめてくれる。

  思い出したくもないのだが、このブログを読み返したあと、また夢に出てきた。もう40年以上も前のことなのに。

36 ②クリイロナマコ

  足摺の磯へ採集に出かけた時のこと。桂浜周辺では獲れない魚類やナマコ、ヒトデなどを集めて満足の帰路に。しかし帰って水槽のフタを開けると死体ばかり。ベラ類・ミノカサゴ。苦労してつかまえたチョウチョウウオ類等、すべての魚類が死亡。生き残りは、ついでに集めたウニ・ヒトデ・ナマコ類だけだった。水温が高めだったのとエアポンプが不調だったせい、との結論にしようと考えたが、納得はいかなかった。同じ失敗は数回に1回ほどの割合で起こり、原因は不明のまま。ニセクロナマコがあやしい、と思って調べてみたこともあったが、灰色止まり(毒はあるが弱い)。サポニンと云ふ大部分の魚にとって猛毒を出すクリイロナマコが、採集物に混じっていたせいだろう、との結論を得るまでに10年以上悩み続けていた。

  サポニンは健康食品として知られているが、魚類にとってはエラを破壊する猛毒とのことである。

35 ①ハコフグ

  釣り採集から帰ってバケツのフタを開けると、中の魚のほとんどが死んでしまっていることが時々あった。一番考えられるのが酸欠だが、携帯エアポンプを使っていても時々起こっていた。チヌもグレもベラやフグもみんな死んで、ハコフグだけが泡の中でフラフラしながら生きているが、翌日には死んでしまう。何度も経験を繰り返すうちに、ハコフグを一緒に入れた時、アワだらけになり全滅することに気付いた。食べても無毒のはずのハコフグの出すアワが原因であることを確信し、自慢げに恩師に話してみた。「お前は授業をサボってたな!オレはハコフグがパプトキシンを吐き出すことを教えたはずだぞ」と怒られてしまった。(昭和48年秋頃)

ハコフグは興奮しなければ毒を出さない。泳ぎが可愛い水族館の人気者である。
プロフィール     ロリコンのおじん

もったいないおやじ

Author:もったいないおやじ
桂浜水族館を縁の下から支えて半世紀。

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