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201 (再)長寿道具類⑨銭箱

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  桂浜水族館の入場券売場には、古ぼけた木箱が座っている。幅30㎝奥行35㎝深さ15㎝ほどで、見るからに年代物を云う感じ。中を3つに仕切られた杉の木の箱は、手アカがしみ込み、年輪のすきまのやわらかい部分は大きくすりへって、年月をきざんだ風格がただよっている。さすがに真鍮製の蝶番だけは、30年ほど前に私がステンレス製に取りかえた。しかしそれ以外は釘も昔のまま。修理のあとも見られない。聞くところによると、昭和6年に水族館がオープンした時から使っているそうな。そうするともうすぐ80年を迎えるのである。私が使いはじめる40年も前から切符売場に座り、入館料をのみ込み続けていることになる。この銭箱はこの先も桂浜水族館の歴史のすべてを見続けていくことであろう。

  コロナ禍による休館を機に私は切符売り場の係を卒業したが、この銭箱は今も。おそらく【桂浜水族館100年周年】を見届けることと思う。  
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200 (再)長寿道具類⑧ブロワーポンプ

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  地下の機械室にあるポンプ類で、新築当初から無傷で生き残っているのはブロワポンプだけになってしまった。海水用のポンプは、10年使えば大長寿になる。淡水用でもペラやベアリングの寿命は20年が限度だろう。しかし空気用のブロワポンプは別格のようだ。新品のころは、グリス注入とオイル交換を半年ごとにきちんとやっていたが、その後は3・4年に1回、Vベルトの交換時にグリスを入れる以外はノーメンテナンス。水槽のブクブク用なので、24時間・365日。そしてもうすぐ27年だから、24万時間近くも走り続けているのである。この分だとあと10年や20年は平気な感じ、私より長生きするのは間違いないと思う。

  1.5kWのモーターとⅤベルトは消耗品だが、本体は永遠に走り続けそう。

199 (再)長寿道具類⑦ドライバドリルⒷ

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  もっと強力な電源がないか探していたら、先々代館長が愛用していたジェットバス用の、15Ⅴ50Aのコンバーターを見つけた。これを使うとバリバリ働いてくれた。少し重いが車のバッテリーに比べればたいしたことはない。しかししばらく使っているうちに、変なニオイがするようになってきた。これは多分モーターが焼けるニオイだから、もう寿命だろうと思っていたら、ニオイの元はモーター本体ではなかった。使用中にバチッと音がして、焼けコゲのニオイが広がったので電圧・電流が少しオーバーだったせいだろうとあきらめぎみでバラシてみたら、焦げていたのはスイッチ!。スイッチなら取替は可能である。電気工事の時に取りはずしてあった、三ツ又スイッチを2個並べて、プラス・マイナス切替(逆転用)配線を作り、押釦スイッチを回路に入れた。このドライバドリルは、15年を過ぎた今も、現役で働き続けてくれている。

  この記事を書いたのは2011年2月。私の作業場では、このドライバドリルが今も現役である。

198 (再)長寿道具類⑦ドライバドリルⒶ

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  20年ほど前から“ドライバドリル”なるものが出回りはじめた。これは携帯電話と同じくらい、一度使うと手ばなせなくなる便利な道具である。ところがこれに使われている“ニッカド電池”が大問題だった。カタログでは300回ぐらい充電出来ることになっているが、実際はメモリー効果などもあって、100回ももたずに使用限界がくる。替りの電池を注文すると、なんと新品のドライバドリルセット(電池2コ付き)より高いのである。したがって電池の寿命がドリルの寿命になってしまう。私の最も嫌いなパターンである。だから古いドリルをなんとか復活させてみようと、いろいろ試みた。乗用車用の12Vバッテリーをつなぐとうまくいったが、これは重すぎて持ちはこびがむずかしい。余りもののコンバーターで有線のドリルにして、あるていど使用出来るようにしたが、少し力不足で長いビスや堅いネジにはギブアップだった。

  現在はバッテリーがニッカドからリチュームイオンに代わり、ドライバドリルは工作には欠かせない。

197 (再)長寿道具類⑥バルブとレンチ

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  イルカプールの主排水栓は250mmのゲートバルブ。深い桝の中にあるので、ハンドルではなく桝上部から専用のレンチで回せるようになっている。しかしそのレンチは10年ももたずにサビ折れてしまった。折れた部分を木で修理して使っていたら、今度はバルブ側のヘッドが、やはりサビで折れてしまった。このバルブは30万ぐらいはする上、取替工事は自力ではむずかしい。何回かは桝の中へ入ってパイプレンチで開け閉めしたが、その度に別系統からの排水でズブぬれになる。なんとか上から操作出来るようにとヘッドを四角くけずり、塩ビパイプを四角く成型したレンチを作った。このヘッドは3・4年で角がすり減ってスベるようになるので、ひと回り小さくけずってレンチも作りなおすことになる。半年ほど前に3回目の成型をしたが、あと1・2回はこの方法で使用し続けることが出来そうである。

  ヘッドのすり減りが早く成型がしんどいので、いろいろ考えてヘッドに穴をあけビスを差し込む構造にした。このビスを引っかけて回すようにしてもう10年になる。

  

196 (再)長寿道具類⑤蛍光灯

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  新築から26年になるが、水槽照明用の蛍光灯は今も頑張っている。電球のほうは毎日10時間以上働かせるので3年余りで寿命が来るが、本体や安定機は“水族館仕様”とのことで、塩害対策として強化プラスチックを主体に、出来るだけ金属を使わない作りで、安定機も完全パック式になっている。だから20年間は全く故障しらずだった。しかし寿命は別の所からしのび寄ってきた。チラつきはじめた器具をバラしてみると、配線の継ぎ目に青サビが見えた。そこを修理すると復活したが、よく見ると水槽の水面に近い所に設置したものほど、この部分の痛みが早いことがわかった。それから5年ほどの間に、継ぎ目だけではなくコード内の銅線がボロボロと崩れて、結線が不能なものも現れはじめた。毎日10時間以上、26年間で10万時間ちかく働いている。寿命はいたしかたなしである。

  来年には新築から40年になる。水槽照明として使用しているものは、ほぼ寿命が尽きLED球に入れ替わったが、淡水系や天井用は今も変わらず元気に働いているのである。

195 (再)長寿道具類④エアポンプ

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  昭和48年頃、桂浜水族館の活魚運搬用の水槽トラックは、酸素ボンベを積んでいた。しかし使い勝手が悪いので、当時出回りはじめていた「ダイヤフラム式のエアポンプを買って欲しい」と館長に頼んだ。カタログを見せると「この中古トラックが15万だったのに、こんな小さいポンプが7万もするのか。お前の月給(当時5万8千円)より高いぞ」と云われたことを覚えている。それから38年、トラックの荷台に積みっぱなしなのでサビだらけ、エアクリーナー部は脱落しているが、エア量は昔のまま。20年ほど前に、一度水没させたが、素早く乾燥させて無事復帰。10年ほど前にエアの出が悪くなったので、一度分解してみたが弁にゴミが引っかかっていただけだった。丈夫で長持ちのこのエアポンプは、決して高い買いものではなかったのである。

  このエアポンプが動かなくなったので分解してみるとカーボンブラシがすり減っていた。ネットで探すとブラシは見つかったがそれを止めるプラスチックのキャップがバラバラ。木片とシリコンで止めてみたがその後長持ちはしてくれなかったのである。

194 (再)長寿道具類③チンブロック

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  昭和58年頃のこと「高谷君このチンブロックもらって」と植木屋さんに云われた。先々代の館長と、あちこちの山を回って、庭木にするための原木をさがしては掘り出していた人である。私はこの人の弟子入りしたような時(⑥飼育員の仕事?)もあり、いろいろなことを教わった。チェーンブロックのあつかいもその一つである。「もう歳だから」と手持ちの道具類を水族館に寄付してくれたのである。もらってから出番は全くなかったが、5年ほど前、大きな庭石を「5mほど移動させて欲しい」と若いのに云われた。その時この2t巻きのチェーンブロックと、私の植木屋の経験が役に立った。おそらく50年以上前の製品のはずだが、3t近い大石をズルズルと引っぱって、性能の限界をこえる能力を発揮してくれたのである。

  若いのは、この石を移動させたいとは思っても「不可能・業者に頼むと高くつく」とあきらめていたが、ちょっと私をからかうつもりで相談したとのこと。「本当に動かせるとは思わなかった」と。チンブロックさまさまなのである。

193 (再)長寿道具類②ゲートバルブ

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  旧水族館を解体する時、館長は「生き物以外は全部新品にするぞ」と宣言した。しかし私は当時すでに館長から“もったいない精神”をたたき込まれていた。だから館長には内緒で、いろんな物を取りはずして、こっそり新館へ持ち込んでいた。その中に80mmのゲートバルブがあった。これは昭和35年頃に、廃車になったダットサンのエンジンを再利用して作ったという、非常用のポンプから取りはずした。だからそれまでに、すでに24年が過ぎていたことになる。そのバルブを新館地下の循環ポンプのサクション側に、自分で組み込んだ。バルブは古くなると、少量の水漏れをおこすようになるものが多いが、このゲートバルブは50年が過ぎた今も、一滴の水も漏らさず、100%の能力を発揮し続けている。

  バルブ類は高い、80mmのゲートバルブなら10万円は下らない。これだけでも経費削減 効果は大きいのである。

192 (再)長寿道具類①パイプレンチ

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  地下の機械室の隅に、サビまみれの鉄棒のように見える物がある。これは直径100mm用の大形パイプレンチである。私が入社して間もなく前任者の浪やん(⑧もったいないの原点)から引き継いだ。その人の話では戦前からここにあったとのこと。めったに使わないため、サビの上にサビが乗り、スケールのナットは全く動かなくなっていた。ハンマーでサビをたたき落しグリスをねり込んだことを覚えている。その後、旧館時代には使った記憶はないが、新館に移って10年ほどして出番があった。完全にサビついた80mmの吸水パイプの止め金に喰いついて回してくれたのである。その後これまでに数回しか働いてないが、いずれも重要な場面で出動している。彼の体表はウロコ状のサビにおおわれ、一見鉄のかたまりのようだが、スケールナットは10年余り前のグリスがきいていて、常に出番を待っているのである。

  このパイプレンチに、この後出番がある可能性は少ないが、彼は塩風の当たらない地下室の片隅に静かに眠っている。

191 (再)長寿道具類(序)

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  長寿動物の次は、長寿の道具や機械類について書いてみたいと思う。私は設備や機械類を担当する飼育員(⑨館長の先見)を自負している。そして機械や道具類がこわれたら、必ず修理を試みる(⑧もったいないの原点)。だから大量生産大量消費(廃棄)の現代のあり方は、どうしても納得がゆかない。古くなって現在は使ってない道具、こわれて動かないが少しの部品交換で復活しそうなもの、もう完全に死んでしまっていても、取りはずして部品として利用出来そうなものなど、私は捨てない。“もったいないおやじ”は、使える可能性が少しでもありそうなものは必ずとっておく。5年後10年後に、それらのものが一部でも役立った時の喜びは、はかり知れないのである。そのようにして永年私がつき合ってきた、道具や機械類の一部を長寿道具類として紹介してみようと思う。

  私は半世紀前から物を大切にすることを実践してきた。地球の資源が有限だあることに世間が最近やっと気づき始めたようだが、地球温暖化を始めとして、すでに手遅れである感は否めない。

  



プロフィール     ロリコンのおじん

もったいないおやじ

Author:もったいないおやじ
桂浜水族館を縁の下から支えて半世紀。

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