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265 (再)大敷網漁の魚達⑲インバ

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  カスザメは時たまにしか入網しないが、その名のとうりカス扱いである。しかしカスとして捨てられる魚が水族館の狙い目なのである。丈夫でおとなしいので扱いやすく、水槽に入れなくても、海水をかけてやるだけでかなりの時間の輸送に耐えられる。インバと云ふ名は、昔土佐で“インバ”と呼ばれていた外套に似ていることから名付けられたらしい。なかなか餌付かないが、小魚を釣糸に結んで根気よく頭の上あたりを引き回していると、突然バコッと食いついてくるようになる。砂に潜ってほとんど動かないので、存在に気付かずに見過ごされてしまうことの多い魚でもある。

  私は食べたことはないが、実はこの魚は非常に美味しいらしい。
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264 (再)大敷網漁の魚達⑱クロエイ

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  夏場に獲れるカラスエイは私のお気に入りの魚である。アカエイに似ているが、まっ黒なので大敷ではクロエイと呼ばれている。底に沈んであまり動かないアカエイとちがって、外洋を遊泳するタイプのエイなので、水槽内を泳ぎ回ってくれて見ばえがする。しかし何よりも、この魚のエサの食べ方が面白い。泳ぎながら食べるので、逃がさないようにヒレを丸めて包みこむようにして食べる。好物のイカを吻のあたりに近づけるとクルッと反転して腹を上に向け、左右のヒレを寄せて包み込むように口に運ぶしぐさは、可愛くて心がなごむ。毒棘にさえ注意していれば、丈夫で飼いやすい魚である。

  普通エイの仲間は腹側は白いのだが、このエイは遊泳性のためか腹も黒い。

263 (再)大敷網漁の魚達⑰アオタ 

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  アオタと呼ばれるヨシキリザメは室戸の大敷には常連である。大きいのは2m近い(118危険生物⑥サメ)のを見ることもあるが、私には手が出せない。50~60cmの小型がねらい目で、なんとか飼育出来ないかと連れて帰った。しかし酸欠に弱く、多くは水槽トラックでの2時間に耐えられず、桂浜に着いた頃には死後硬直になっていることも多かった。サメ類は飼育がむずかしいと聞いていたのを実感させられたものである。しかしある時、大型のメスが市場へ陸揚される途中でバラバラと胎児を産み落す場面に出合ったことがあった。その仔を13尾つれ帰ってみたら、予備水槽で15日間頑張ったことがあった。餌に付くまでには至らなかったが、このあたりにサメ類輸送・飼育のヒントがあるかもしれないと、次のチャンスを待ち続け、もう10年以上が過ぎてしまった。

  六月に出産直前のヨシキリザメを狙って集中して大敷網に通ったこともあったが、出会うことはなかった。

261 (再)大敷網漁の魚達⑮マイラ

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  アオザメがなぜマイラと呼ばれているかはわからないが、精桿な顔立ちがいかにもサメらしい。サメを悪者と見る人も多いようだが、アオザメの歯や目つきは、いかにも悪者顔であると私は思う。だからこそ、なんとしても飼育展示してみたいと考えた。しかし大敷に入るアオザメは小さいものでも80cmはあり、私の水槽には入らない。船のカンコ(船内イケス)を借りても、その中で大暴れで傷だらけになり、トラック水槽では酸欠になってしまう。しかし何よりこのサメは値段が高い!普通サメ類は干物にするぐらいでほとんど値がつかないが、マイラは“サシミで食べる”とのことでkg当り1000円は下らない。だから最低でも1尾5000円以上になる。私にはすべての面で手が出せない魚なのである。

  一度だけ食べさせてもらったことがあるが、サメ臭は全くなくて美味しかった。

260 (再)大敷網漁の魚達⑭メイタ

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  多くの地方でメイタと呼ばれているメダカガレイは、室戸の大敷では四季を問わずボツボツ入網する。東シナ海の底曳網ではおなじみの高級魚(私は40年ほど前に、1年余り大阪の中央卸売市場で以西底曳の魚類を扱った経験がある)なのだが、室戸では漁獲量が少ないせいなのか、あまりいい値はつかない。目玉がとび出した、愛嬌のある顔立ちのカレイなので水族館向き。砂にもぐって目玉だけを出してキョロキョロ動かせる姿がおもしろい。餌には付きやすいが、あまり長生きしてくれないのが難点である。

  大阪にいた時、療の食事にはメイタのから揚げがよく出た。私は偏食がはげしいのだが、魚市場の寮なので魚がイロイロと出て美味しく過ごすことが出来た。

259 (再)大敷網漁の魚達⑬マト

マトウダイ
  正式にはマトウダイ。側面に弓道の“的”そっくりの大きな紋がある。大敷漁のマトウダイは浮袋をパンパンにふくらませて、浮きあがってくる。ウロコらしいものがなく、皮膚が弱いので、注射針でのエア抜きがうまくいっても、スレ傷がかなりひどく現れ、餌に付く前に死んでしまう。おいしい魚なのだが、私が大敷に通い始めた頃(昭和49年)は仲買いが見向きもせず、捨てられていた。見栄えのいい魚なので、私としては遠慮なく貰って帰って飼育を試みた。しかし残念ながら餌付けに成功した経験は無い。最近では市場で買い手がつくようになったこともあり、飼育の見通しも立たないので、全く手を出さなくなってしまっている。

  水族館向きの魚なので、見つけるたびに連れてかえったが飼育に成功したことはなかった。


258 (再)大敷網漁の魚達⑫クマビキ

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  シイラはネコマタ(ネコがまたいで行く魚)と呼ぶ地方が多いが、土佐ではクマビキ又はトウヤクと呼ばれている。おいしい魚なのだが、足が早い(鮮度落ちが早い)ために、下級魚に扱われている。大敷には夏場を中心に大量入網することがある。何度か採集を試みたが、小型の当才魚でも45cmほどはあるし、大暴れする魚なので、私の狭い水槽では無理とあきらめていた。しかし初夏に大敷に入る流れ藻の間に、3~5cmの稚魚が潜んでいることがあることに気付いた。この稚魚はモリモリ餌を食べ、ドンドン太る。1~2ヶ月で20cmほどに成長するが、そのころになると飛びはねるようになり、水槽上部に激突したり、時には飛び出してしまったり!。当館の施設では大型(1.2m)にまで育てるのは無理な魚ではある。

  この魚は他に例がないほど成長が早い。




257 (再)大敷網漁の魚達⑪ベイケン

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  アジの仲間だが、群れを作らない種類なので、大敷にはボツボツしか入らない。土佐ではベイケンの名で知られているが正式名(標準和名)はカイワリ。その名から貝を割って食べる魚を想像したが、この魚の口や歯の構造では貝を割るのはとても無理なので、不思議に思っていた。白身でおいしく、おなかに優しい魚とのことで、病人食として重宝されている。だから値段もいいのだが、小型なので1尾当りにすると大したことはない。体高が高く、キラキラしていて見栄えのいい魚なので、見かける度につれて帰ることが多かった。ベイケンの由来はわからないが、“カイワリ”は尾の形がカイワレダイコンに似ているのが、この名の由来とのことである。

  お腹の弱かった義母が好んだ魚なので、おかずになってしまったことも多かった。

256 (再)大敷網漁の魚達⑩ヤマノカミ

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  ミノカサゴはいろんな地方でヤマノカミと呼ばれているようである。これは私の推測だが、きれい(ピンクの振り袖のような大きなヒレを持つ)だけど恐い(毒棘がある)存在なので、ピッタリのアダ名だと思う。春先に、大型のミノカサゴが入網することがあるが、水深50m余りの海底から一気に引き揚げられるため、浮袋の調整が間にあわず、腹がパンパンにふくらんでしまっている。しかし丈夫な魚なので、太い注射針でガス抜きをしてやると、大多数は助けられる。市場では値がつかないので、私の水槽へ入れてくれていたが、白身でおいしいことが知れ渡り、最近では大型のものは「桂浜よ、おれが食ふぞ」と持っていかれることが多くなった。

  きれいな水族館向きの魚なので「桂浜が来てる時はやりいや…」と船長が声をかけてくれることも。

255 (再)大敷網漁の魚達⑨バンドウ

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  オウムのクチバシのような、かっこいい歯を持つアオブダイは、大型(80cmぐらい)のものが、棘網で捕獲されて入館することがあるが、傷がひどいことが多く、回復して餌付くまでにはいたらない。大敷網漁で見かけたことはなかったが、昨年末のこと、室戸から「桂浜(室戸での私の呼び名)よ、バンドウが獲れたから来い」との電話。バンドウと云ふのはアオブダイのことだが、数の多いヒブダイの雄も、そう呼ばれることがある。あまり期待せずに出かけて行った。しかし行ってみると、なんと80cmクラスのアオブダイが6尾!「こんなのがまとまって獲れたのは初めてだ」と船長も興奮気味。私にはすばらしいクリスマスプレゼントになったのである。

  ヒブダイと同じく大敷網ではめったにみられない。

254 (再)大敷網漁の魚達⑧イヌバンドウ

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  ヒブダイは黄色の体に水色の縞模様のあるきれいな魚である。足摺あたりの磯で泳いでいると、たくさん見かける。磯釣りでは何度か釣ったことはあるが、肉がやわらかすぎて、フライにしてもまずく食べられなかった。10cm余りの幼魚が時たま釣りで入館する。最初はエサに付きやすく飼いやすい魚と思っていたが、たくさん食べているようなのに痩せてくるので、何か特別な食性があるようだ。室戸の大敷では、時たま見かけることもあったが、ある年40~50cmの個体が500尾余りまとまって入網したことがあった。この魚がまずいことはみんな知っているようで、すべてゴミとして処理された。私は沖で小型のものを選んで3尾だけ自分の水槽へ取り込んでつれ帰った記憶がある。

  沿岸の磯回りには多く見られるが、沖合に仕掛けられた室戸の大敷網では珍しい。

253 (再)大敷網漁の魚達⑦カガミイオ

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  大敷網でカガミイオと呼ばれているのは、普通イトヒキアジのことのようである。秋から冬にかけて、平たい体をキラキラさせながら、白と黒の糸状に伸びた背ビレと尻ビレをはためかせて、網の中ではねる。私は漁獲量が少なくて、他の魚とこすれあわないような時には、自分の水槽へ取り込むこともあるが、たいていはたくさんの魚に押されて、きれいな状態では獲れない。この魚の見どころである糸状のヒレは、切れたりもつれたり。スレにも弱く桂浜につれて帰っても、数日しかもたないことも多い。カガミイオの名は、平たくてウロコが光る魚の総称のようで、サイトウやマトウダイの仲間のカガミダイも同じ名で呼ばれている。

  この魚は30㎝ほどに育つと長いヒレは消えて、普通のヒラアジ類と見分けがつきにくくなる。

252 (再)大敷網漁の魚達⑥ヨロイドウシ

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  マツカサウオが正式な名前。その名の通りマツカサ状の硬いウロコにおおわれている。腹ビレがヤリのように細長くとがっているので、ヨロイドウシの名がついたと思う。白身で大変美味と聞いているが、体の大部分がウロコなので、食べられる“身”の部分はほんの少ししかなさそうである。大敷網には稀にしか入らないが、水族館用に船のカンコ(船の水槽)に入れて、生かしておいてくれる。硬くて丈夫なウロコのおかげで、他の魚の下敷きになったりしていてもあまり痛まず、復活してくれることが多い。体型が変わっているだけでなく、共生している発光バクテリアによって“光る魚”とも云われており、水族館では人気のある魚なのである。

  丈夫で長生きしてくれるのだが、餌付きが悪い。半年近く全く食べずに頑張るものも珍しくない。

251 (再)大敷網漁の魚達⑤トモモリ

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  大敷網に時たま入網するツバメウオの成魚は、トモモリと呼ばれている。白身でおいしい魚(私は食べたことはない)とのことだが、入網数が少ないこともあって値が付かない(仲買いが買ってくれない)。だから水族館用にもらって帰る。漁獲時に浮袋調整が出来ず、ひっくりかえっていることが多いが、丈夫な魚なので注射針でエア抜きをしてやると、たいていは大丈夫。一見地味だが、体高が高いのと大きめの背ビレ・尻ビレなどで、見栄えがする。幼魚は夏場に、枯葉に化けたふりをして漁港などにただよっている(141 玉網採集③ツバメウオ)。私のお気に入りの魚の1つである。

  昔(20年以上前)は少なかったが、ここ数年は随分増えている。網の中に40cmクラスが10尾以上もいることも。

250 (再)大敷網漁の魚達④オキハゲ

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  ウスバハギは50~60cmになる白っぽい灰色の魚である。しかしハゲの仲間なので上や正面から見ると厚みは2~3cmしかない。このギャップの大きさと、背ビレと尻ビレを使ってユッタリ泳ぐ姿がユニークで、「ユウレイみたいに見える」との声もあり人気があった。大敷網漁では冬場にたくさん獲れて、1尾500円ほどと手ごろな値段だったので、度々つれて帰った。餌にもつきやすく飼いやすい魚だったが、どうやら南方系のようで、加温設備のない当館の冬場の水温(15℃)に耐えられず、短い命だった。

  15℃の水温でも平気でエサを食べているのに、4月になって水温が上がり始めた頃にボツボツと死んでゆく。

249 (再)大敷網漁の魚達③ベットウ

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  青い背中で尾部が黄色のきれいな魚なので、水族館向きである。和名はタカベ。20cmぐらいになり、一部の地域(小笠原など)では高級食材とのことだが、室戸の大敷漁ではせいぜい15cmぐらいまでしか見られない。鮮度落ちが早いのと、漁獲量が少ないせいもあって買い手がつかず、ゴミ扱いである。私は塩焼きで食べてみたが、結構おいしかった。大敷網には2~3月頃、3~4cmの幼魚が集まることがある。網に着いた甲殻類などを食べているように思える。玉網ですくうと、一網に200~300尾も!。それだけで私の持ち込んだ50ℓ水槽いっぱいになる。元気に育って、1000尾余りを群泳させて評判になったこともあった。

  幼魚の群れが獲れるのは、寒い寒い2~3月。それも朝の漁(日の出の頃)にしか獲れないので、狙っても出会うことはめったにない。

248 (再)大敷網漁の魚達②コウロウ

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  イシダイもイシガキダイも、土佐ではコウロウと呼ばれている。磯釣りでは大型(60~80cm)が少なくなっているので“幻の魚”などと呼ばれている。大敷網には、春先に産卵群と思われる40~50cmの、数尾から十数尾の群れが入網することがある。高級魚だから、kg当たり2000円は下らない。1尾3000~5000円ほどになるので、貧乏水族館では手が出せない。しかしサンバソウと呼ばれる当才魚は、秋口にたくさん釣れる(73 釣り採集⑰イシダイ)ので、水族館としては大敷のコウロウには手を出さず、釣りのサンバソウをコウロウにまで育てればいいのである。

  この魚は嘴が強く、つっつく習性があり、水槽のアクリルガラスに深い傷をつけてしまうので、私の嫌いな魚の一つである。

247 (再)大敷網漁の魚①ウリボウ

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  室戸の大敷網には、高級魚のイサギが大量入網することがある。大型(40cmぐらい)のものはkg当り3000円近い値がつくこともあり、弱小水族館には手が出せない。しかしウリボウ(色も縞模様も、大きくなると縞が消えるところもイノシシの仔とそっくりなので、この名で呼ばれている)と呼ばれる幼魚(10cmぐらい)は値がつかない。10kg入りのザルに山積みされ、ゴミとして処理される。だからゴミになる前に、沖で漁獲中に横から玉網を出して私の水槽へ。多い時には1回すくっただけで、100尾以上獲れたこともあった。エサにはつきやすく、丈夫で飼育しやすい魚である。

  このウリボウは200尾余りを2tほどの汽車窓水槽に入れ、15年ほど飼育。100尾ちかくが40㎝まで育ったのである。

246 (再)大敷網漁の魚達(序)

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  私が大敷網漁に通い始めたのは、室戸の三津漁港にイルカが入った時(⑮イルカ入館)からのことである。その時(昭和48年12月)大敷網漁でマンボウが獲れることを知り、(⑰マンボウとの出会い)そのとりこになった。めったに獲れないマンボウを求めて、随分通ったものである。そしてせっかく漁の船に便乗させてもらうのだからと、目についた魚は何でもすくって、自分の持ち込んだ20ℓのバケツ(後に50ℓの水槽)に入れた。大敷網漁は、曵網や棘網と違って捕獲時の傷が少なく、飼育に適した魚が集められる。私は大敷網漁でいろんな魚に出会い、随分勉強させてもらった。今回はその魚達の一部を紹介してみたいと思う。まずは別名を持つ、大敷漁ではなじみの魚から。

 桂浜のような弱小水族館では魚類の入手費用が経営の重荷になるが、大敷網では安価(ほとんどが無料)で手に入る。

プロフィール     ロリコンのおじん

もったいないおやじ

Author:もったいないおやじ
桂浜水族館を縁の下から支えて半世紀。

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