
お魚を扱う水族館では、玉網は必需品である。私は入社以来、先代から引き継いだステンレス枠の玉網を修理しながら使い続けていた。しかし10年余り前からは、若い飼育員が市販のメッシュの玉網を買ってくるようになり、私の玉網は隅っこに追いやられてしまった。メッシュの網は魚の体表が傷つきにくいのが利点だが、市販のものは枠がビニール被服の鉄製なので、いくら修理しても5年からせいぜい8年で寿命がつきる。当初買ってきた10本はもう消滅してしまい、その後買い足した数本も、今のところ私の修理の手がはいっている。そして少しづつではあるが、昔使っていたステンレス枠の玉網が日の目を見始めているのである。
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