
私が桂浜に来た頃(昭和46年)はアカウミガメの上陸は数年に一回程度のごく稀な状態だった。しかしここ数年は、5~7月頃毎年のように、数頭の上陸跡が見られるようになった。ただし産卵を確認するのは稀で、多くは卵を産まずに帰っている。その理由は産卵穴が深く掘れないことにある。桂浜は砂粒が少し粗いために、途中で崩れて満足な深さ(約50cm)まで掘れず、何か所も掘り返した末、産卵を諦めて帰ってしまうのである。絶滅危惧種といわれ、数が少なくなっているはずのアカウミガメが、条件の悪い桂浜で多く上陸が見られるようになったのは、県内の海岸の砂浜がやせ細り、上陸を試みる場所さえなくなってきているせいではあるまいかと私は思っている。
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