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12 死神のリスト

   高知港入り口に長い(1,5km)防波堤がある。私のお気に入りの釣場の1つであった。いろいろ悩ましい考えを振り払う意味もあって、度々そこで夜釣りをした。その日は月もなく真っ暗闇、波の音が少し変な感じだった。先端に着いて道具を置いて、何か変だな?雨の気配はないのに濡れてる…。と思いつつ、まずは腹ごしらえ。いつものように1mほど高い灯台の基礎に上がってアンパンをくわえた。その時、ザワザワと奇妙な波音に続いてバーンと巨大な波柱が目の前に立ち上がった。灯台の鉄骨にしがみつき、大波をやり過ごす。2発目の波には体が浮き上がりそうになった。ヘッドランプ以外は、道具も餌も太平洋の暗闇に消えていった。ほんの少しのタイミングで私の体も…。当時はそれも良かったかも知れない、と思っていたような記述が日記に残っている。しかし死神のリストに私の名前は無かったようだ。とにかく拾った命。それ以後、夜釣りの時は必ず天気図を見て、沖に台風がいないことを確認してから出ることにした。(昭和47年秋)

  失恋の傷や仕事の不満で「もう死んでもいい…」などと考えていた頃のこと。ほんの少しのタイミングで私の体は真夜中の太平洋へ放り出されていたのは間違いない。死神はこのとき「まだ早い」と私をリストに載せてなかったようだ。鉄骨に捕まって助かったのは奇跡的と言えるのである。
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プロフィール     ロリコンのおじん

もったいないおやじ

Author:もったいないおやじ
桂浜水族館を縁の下から支えて半世紀。

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